『医療保険はすぐやめなさい』の著者でもあるファイナンシャル・プランナーの内藤眞弓氏も懐疑的な見方をする。

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公的保障、民間生命保険の保障内容

「現在販売されている民間の介護保険が開発されたときの背景と未来がまったく変わっていたら、役に立ちませんよね。20年後、30年後、自分が要介護になったときにほんとうに役に立つのか」

自分自身が要介護になるのは20年後、30年後かもしれないが、自分の親世代に加入させて子世代の負担を軽減させるという案はどうだろう。保険会社にもよるが加入は85歳前後まで認められる。保険料は親と折半したり、子世代で分担負担してもいい。

「それが正しいのかどうか、判断は難しい」とファイナンシャル・プランナー藤川太氏は懐疑的。

「民間の介護保険料は非常に高い。それなら貯蓄をして対応したほうがいいのではないかとも言える。貯蓄は三角、保険は四角といいますよね。貯蓄を四角にする(必要な金額を貯める)には時間がかかるけれど、保険は最初から四角(必要な金額を受け取れる)です。だから貯蓄の少ない段階では保険が有効なのですが、介護状態になるまでには時間がある。その間に貯めることができますよね」

介護に関しては、まだ準備の時間がある。まずは貯蓄を優先させて、それでも心配なら民間の介護保険を検討するというスタンスで臨めばいい。

【ヒント】介護保険は、まず公的な保障内容を把握すべし

公的保障には現金給付とサービス提供があり、それぞれ併給ができる。ただし介護保険と障害福祉サービスの重複部分は介護保険が優先適用となる。民間の介護保険は現金給付。契約前に支払い条件をしっかり確認しよう。(※図表は内藤眞弓氏作成)

小黒一正(おぐろ・かずまさ)
法政大学経済学部准教授。1974年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了後、大蔵省入省。一橋大学経済研究所准教授などを経て、2013年4月より現職。専門は公共経済学。

北村庄吾
(きたむら・しょうご)
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。1961年生まれ。中央大学法学部卒業。91年、法律系国家資格者の総合事務所BraiNを設立。年金問題に詳しい。

内藤眞弓
(ないとう・まゆみ)
ファイナンシャル・プランナー。生活設計塾クルー取締役。1956年生まれ。日本女子大学英文科卒業。13年間の大手保険会社勤務の後、FPとして独立。

藤川 太
(ふじかわ・ふとし)
家計の見直し相談センター代表。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、自動車会社を経てファイナンシャル・プランナーに。
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