お金のプロが初告白。老親の面倒を見て、初めて気づいた本当に必要なこと。安全、入院、人間関係、家計や家の管理、葬儀、相続……。多くの人が陥りがちな問題もこうすれば解決する。

軽度の認知症なら一人暮らしも続行可

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元気なうちに本人が契約しておけば、いざというとき財産管理がスムーズに移行

親が認知症になった場合の大きな課題が親の財産をどう管理し、守るかだ。認知症が軽度であれば、さまざまなサービスを使いながら、一人暮らしを続けることも可能だ。私の母はまだ判断能力が衰えているわけではないが、年相応に物忘れをしたり、話がかみ合わないこともある。知り合いの77歳の男性も母と同じ程度の判断能力だが、身体がやや不自由なため社会福祉協議会の行う日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)を利用し、社協の専門員に預金口座から現金を引き出してもらい、ヘルパーに依頼する買い物代や日常の支払いを代行してもらっている。

この事業は、認知症高齢者など判断能力が不十分でも、地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助や日常の金銭管理を柱に行う。利用料は支援に要した時間数で決まる仕組みで、1時間あたり1000円程度のところが多い。毎月の負担は数千円で済むことも多く、後見人制度より簡略化され、高齢者には使いやすい。通帳を預けておけば、訪問販売などの被害も最小限度にできる。