お金のプロが初告白。老親の面倒を見て、初めて気づいた本当に必要なこと。安全、入院、人間関係、家計や家の管理、葬儀、相続……。多くの人が陥りがちな問題もこうすれば解決する。
骨肉の争いを避けるための必須事項とは
親が亡くなって相続が発生したら、まず相続税がかかるかを調べること。そのためには遺産の全体像を把握する遺産調査が必要になる。その際に「財産がどこにあるのかわからない」「どこの金融機関に口座があるのかわからない」となると相続税の申告がスムーズにいかなくなり、余計なコストや時間、手間がかかる。さらに、誰が、どの財産を、いくらずつ相続するのかを決める遺産分割協議ができない。遺産分割協議がまとまらなければ、被相続人死亡後10カ月以内の相続税申告期限が過ぎてしまい、相続税に加え、延納金を支払うことになる。そんな事態を避けるためには父母に頼み、1年に1回は財産の洗い出しを行い、財産一覧表を作成してもらうとよい。
財産リストは資産、債務、非課税財産の3つに分け、資産は現金や預貯金、有価証券、土地建物、借地権など相続財産にプラスになるもの。ローンなど金融機関からの借入金、事業上の未払い金や未払いの医療費などは債務になる。非課税財産はお墓や国に寄付した財産などだ。
しかし、多くの高齢者は自分の財布の中身を探られることを嫌がるもの。そこで、エンディングノートを書いてもらおう。自分史だけでなく、預貯金、不動産、株式などの資産を記入するページもあって、遺産の明細がわかるからだ。
ところで相続対策は、相続税がかからない場合でも、相続人が複数であれば、遺産分割を行うことになる。相続税がかかる場合は、主に節税対策、財産移転対策、納税資金対策の3つが必要になる。
特に問題になるのが、相続税がかからなくても相続人が複数いる場合だ。「大した財産なんてないから、相続の問題なんて関係ない」と思いがちだが、遺産が少ないほど、限られた遺産を平等に分けようとしてもめてしまうのだ。