「自分の親だ。できることは俺がやろう」

前回、記したように突然、父親(89)がベッドから起き上がれない状態になった時、私は下の始末も含め、ひとまず自力で対応しました。

寝たきりになった原因は結局、分からずじまいでした。血圧も体温も正常。後に衰えが顕著になり入院した時、検査をしましたが、この時もこれといった異常は見つかりませんでした。数値に現れない異変が父の体の中で起こっていたのかもしれませんが、老いによる衰えと判断するしかない状況です。これでは入院することはできず、在宅で介護するしかありません。しかし、今後すべてを自力で対応するのは難しい。

私はライターという職業柄、自宅で仕事をすることが多く介護できる状況にありましたが、妻・娘は平日働いており(母親は13年前に亡くなった)、戦力になるのは私だけ、しかも介護に関して全くの素人ときていますから、介護のプロフェッショナルのアドバイスやサポートが必要であることは明らかでした。父が寝たきりとなった直後に、私はそのことを悟りました。

とはいえ、どこの誰に連絡をすればいいか分かりません。介護に対する具体的な知識はなく、動揺もしていたのでしょう。冷静な思考ができなかったのです。

父の他界後、本原稿を書くに当たり介護の専門書を数冊読みましたが、それらを総合すると「地域の民生委員や自治会役員など身近な事情通」や「役所の介護課や福祉課」に相談するといろいろとアドバイスしてくれる、そのうえで最寄りの「地域包括支援センター」へ連絡するとよいとのことです。

ただ、当時の私は目の前で起きている事態への対応を迫られている状態で、本を買いに行く余裕などありません。また、ネットで調べることにも頭がまわりませんでした。「とにかく、どこかに連絡しなければ」という思いが先にたち、「市役所? だとしたら何課?」というように右往左往しました。そんな時ふと、ある連絡先が頭に浮かびました。