子に依存することで親は傷ついている

参議院議員 
三原じゅん子氏

「周囲に必要とされることが力になる」

これが年老いた親と接するときのポイントだと思います。つまり、自分がいると喜ばれる場所がある、ということが親にとって重要なんです。

自分の居場所を失うことほど、生きていて辛いことはありません。壮年期の大人や子供だってそうでしょう。いじめられて自殺する子供が出てくるのは、やはり自分の居場所をなくした苦しみが大きいのだと思います。

ですから、親に対しては「あなたがいないとダメなんです」と、あえて頼ったり、甘えたりすることも必要です。見せかけでもかまいません。日常生活のなかで「自分が必要とされている」と感じられる状況をたくさんつくってあげることが、最大の親孝行ではないでしょうか。

私の父は15年ほど前に脳梗塞で倒れて以来、母が父の介護をしています。介護が長期にわたるにつれて父はわがままになり、私は頑張って介護をしている母を気の毒に思っていました。

そんな私が介護される側の気持ちも理解できるようになったのは、子宮頸がんを発症したことがきっかけでした。

自分が母に看護される立場になって、看護や介護をされる側もすごく辛く、傷ついていることに気がつきました。思い通りに動かなくなった自分の体に苛立ったり、感謝の気持ちをうまく表現できなかったり、家族に依存しすぎてわがままになっていったり……。

がんの闘病でそんな気持ちを経験し、私は前より父に優しくできるようになりました。介護施設の立ち上げを決意したのもこの経験があったからです。看護や介護をする側とされる側、両方の気持ちがわかる人間が介護施設をつくったら、きっとよい施設ができると思ったんです。