売り上げ減が悔しくて涙を流せるか　－会社が絶対手放さない人の条件【喜代村　木村 清社長】

アイデアを活かして創業した会社が、銀行から数千万円の借金の返済を迫られ、会社をつぶしそうになったことがある。自分の夢が破れて生きるか死ぬかという瀬戸際まで追い込まれたが、そのときも母の言葉を思い出し、奮起した。手元に残った300万円を元手に築地にすし屋を開業した。お金がないのでカウンターなし、むき出しの天井を布で覆うだけの内装であったが、ひたむきさがお客を呼んだのだと信じている。

涙を流すくらいの覚悟を持って一生懸命にやれば、従業員にも通じるし意気に感じて接客態度も変わり、売り上げも上がる。大きくチェーン展開していっても、ノウハウやマニュアルよりも大切なのは、従業員の覚悟なのだ。それを悟ることで、1年で店の売り上げを2倍、3倍にする店長はザラだ。

社員の独立も私は応援している。独立するには不足している課題がある場合は、はっきり無理だとアドバイスする。私の注意を「自分が有能なので社長は手放したくないのだろう」と勘違いして独立する人もいたが、経営はうまくいかず、多額の借金を抱えて首を吊る寸前までいってしまった。

大事なのは、お客様や従業員を含めて人に愛されるには、人間として平等に扱えるかどうか、人が満足するとはどういうことかを知ることが根底にあると思っている。