アウトソーシングを徹底的に活用せよ!

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同居介護がまだまだ圧倒的/介護離職で負担増の悲劇

「絶対に介護離職はしないほうがいい」と強く勧めるのは、富山市で一人暮らしになった母親の世話のために千葉県内の自宅から3歳の娘を連れて2年間、実家に帰った経験があり、介護にも詳しいファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さんだ。

「仕事を辞めたほうが介護が楽になると考えがちですが、辞めれば介護漬けの日々を過ごすことになり、社会との接点もほとんどなくなります。経済的にも親の年金と貯蓄を取り崩す生活になります」

介護する人の鬱病の発症率は高いといわれているが、介護者による「虐待」も増えている。12年度の厚生労働省の調査によれば、介護者による虐待と思われる相談・通報件数は2万3843件に上り、そのうち高齢者虐待と認められたケースは1万5202件にもなる。

虐待している人のうち息子が41.6%、次いで夫が18.3%、娘が16.1%、嫁が5.9%の順になっている。虐待者との同居の有無では、「虐待者とのみ同居」が49.6%で最も多く、「虐待者及び他家族と同居」を含めると、86.5%が同居しているケースだった。

黒田さんは「離れて暮らすためには介護保険の積極的な利用をはじめ、親が受けられるサービスの情報をしっかり把握し、徹底的にアウトソーシングを利用するべきです」と前置きしてこう話す。

「介護の問題はある日突然やってきます。それだけに、高齢者のいる家族は『介護』の問題から目を背けるわけにはいきません。高齢者が元気なうちから介護について話し合うとともに、介護が必要にならないように予防するケアなどの情報を収集しておくことが重要です。いざとなったときの態勢を整えておくことができれば、あわてたり、兄弟など肉親の間で争ったり、悩んだりすることも少なくなるはずです」と強調する。

やっと四十九日の法要を終えた飯田さんだが、「地方都市とはいえ家作と農地があり、相続税の申告をしないといけません。父は遺言を書いておらず、相続は妹と話し合います。実家の処分を考えていますが、お墓も首都圏に移転しようか思案中です」。

介護から家や家計の管理、葬儀、相続に至るまで、親を看取るには様々な事態が起き、いろいろ対処しなければならないことが多い。そこで自身の体験をもとにした黒田さんの「離れて暮らす老親」の対応マニュアルを具体的に紹介していただく。(吉田)

黒田尚子(くろだ・なおこ)
CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員
株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年FPとして独立。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆など幅広く行う。消費者問題にも注力。
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