お金のプロが初告白。老親の面倒を見て、初めて気づいた本当に必要なこと。安全、入院、人間関係、家計や家の管理、葬儀、相続……。多くの人が陥りがちな問題もこうすれば解決する。
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緊急通報、見守りサービスで、同居しなくても安心を確保

話をわかりやすくするためにまず私の家族状況を説明しておこう。夫と娘の3人で東京近郊に暮らしている。14年前に父、その7年後に祖母が他界し、母は北陸の富山市の実家で一人住まいである。私は兄と妹の3人兄妹で、3人とも富山市を離れ、首都圏に在住している。結婚当初に実家近くに住んでいた兄夫婦は両親との折り合いが悪く、実家とは20年以上没交渉。父、祖母の葬儀にも出席しなかった兄は、最近まで音信不通の状態だった。

7年前に祖母が亡くなり、一人暮らしの母は一時心身のバランスを崩し、身内のケアが必要になった。夫の勧めもあって私は3歳の娘とともに母と同居することになった。ところが私はその2年後、40歳で乳がんが見つかり右乳房を摘出、再建手術を受けることになった。そこで母との同居生活は切り上げ、夫と娘、3人の生活を再開。当時70歳の母は一人暮らしに戻ったわけだが、私は母自身が、できるだけ長く自立した生活を歩むために条件を整えるようにしている。

老親の一人暮らしで一番の心配は転倒や体調悪化によって倒れるなどの緊急事態だ。安否の確認には大半の自治体で導入している緊急通報システムの利用を考えよう。消防署や民間の業者と提携し、緊急時に高齢者が通信機のボタンを押すと救急車などが向かう方式だ。

自治体のサービスは65歳以上の独居老人など利用にあたって条件がつくが、民間が行うサービスには、もっと目配りが行き届いたものもある。ペンダント型の通信機を身につけることで転倒を検知して自動的に安心サポートセンターを呼び出してくれる(フィリップス)ものや、高齢者が室内で持ち歩く緊急ボタンと、火災やガス漏れの監視センサーから警報を受けてガードマンが駆けつけるもの(ALSOK)。水道や電気の利用具合をもとに生活状況を分析、知らせてくれるサービスもある。