海江田代表の総括を見て判断する
【塩田潮】自民党圧勝・野党大敗となった前回の総選挙から1年7カ月余が過ぎ、次の衆参の選挙をにらんで、自民党に対抗できる新しい野党勢力の結集が議論になっています。橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会と、江田憲司代表の結いの党の合流がほぼ確定しました。一方、民主党は自主再建派と野党再編派が併存していますが、野党再編派のリーダーの前原さんは、今後の野党再編をどう展望していますか。
【前原誠司(元外相)】われわれは野党再編を声高に叫び、執行部にも訴えてきました。執行部はようやく重い腰を上げ、野党の党首会談を始めましたが、それが本当に政策と選挙の協力、あるいは統一会派の結成、将来の合流につながっていくかどうかです。
民主党の単独再建は、残念ながら、なかなか難しいと思います。衆議院の解散権は安倍晋三首相が持っているわけですから、もし総選挙に突っ込んだ場合、再建派の路線では、議席を減らすのは火を見るよりも明らかです。小選挙区は一対一の戦いです。支持率の高い自民党に、各小選挙区で2~4万の公明党支援団体の票が付いています。今の低支持率の民主党では戦えるわけがない。その上、ほかの野党が同じ選挙区で出てきたら、潰し合いとなる。強い自公は本当に左団扇の選挙となります。
野党側は政策、考え方、理念を一致させた上で協力・再編をしっかりやっていく。一方で、安倍内閣は現在、不支持率が40%以上あるわけですから、現政権の受け皿になるという意思を持つことが必要だと思います。
【塩田】維新の浅田均政調会長(大阪府議)は「僕らと前原さんとは考え方が極めて近い」と語り、エールを送っています。一方、前原さんは橋下・維新と将来、合流する可能性について、読売テレビの番組で「100%」と発言して話題を呼びました。真意はどこに。
【前原】維新だけではなく、政策・理念が共有できれば、みんなの党や他の野党とも 100%、合流して、自公政権とがっぷり四つを組める態勢を整えることが大事、と申し上げたわけです。維新とだけ組むとか、私が民主党を出て維新と組むとか、そういうことではありません。野党の「大きな家」を造って自公と対峙するという意味です。
【塩田】民主党内には海江田万里代表(元経産相)の交代を求める声もあり、来年9月の代表任期満了を待たずに代表選を前倒しして実施するように主張する人たちもいます。6月24日に民主党両院議員総会が開かれましたが、決着は先送りとなりました。
【前原】昨年7月の参院選で敗北を喫したとき、代表は退陣すべしという声が出て、その際に海江田さんご自身が「1年、やらせてほしい。1年で目に見える成果がなければ辞任する」とおっしゃった。その総括をしっかりやっていただくことが重要です。6月24日に「7月の終わりにもう一度、総括の場を設ける」と言った。自ら発した言葉に責任を持って、どう総括するか、どういう発言をするのかを見て判断したと思います。
【塩田】海江田代表の党再建への取り組みについて、今の時点で、どんな採点ですか。
【前原】支持率が低迷しているのは厳然たる事実だと思いますね。それ以上は、ご本人が総括をされた後に意見を申し上げたい。今は言うべきではないと思います。