野党再編に道筋をつけることが天命・使命

【塩田】野党再編のスケジュールですが、来年4月に統一地方選挙があります。そこで各野党が敵味方に分かれて戦うと、再編が難しくなるのでは……。

【前原】スケジュールについて、よく聞かれますが、私は「Nobody knows」と言っています。統一地方選との関係でいえば、これは小選挙区制ではなく、中選挙区制や大選挙区制ですから、ある程度、野党同士で戦わざるを得ない面があると思います。

【塩田】衆議院の解散権を持つ安倍首相が野党再編の動きをにらみながら、先手必勝作戦を考え、野党側の機先を制する形で総選挙を打ってくることも考えられます。

【前原】それはそのとおりです。安倍首相は野党再編をにらみつつ、解散をどこで仕掛けるかを考えていると思います。私は野党再編が進めば、解散・総選挙は遠のくかもしれないと見ています。野党再編が停滞すると見たら、私が首相だったら解散しますね。そういう意味では、安倍首相の考え方に立って、どう野党協力・野党再編を進めるか、緊張感を持って考える必要があると思います。

【塩田】野党再編の進め方ですが、まず統一会派を、とお考えですか。

【前原】統一会派も一つの選択肢と言っていますが、統一会派が必須とは言ったことがありません。とにかく政策・理念で一致できるところで協力する。統一会派もあれば、合併して一つの政党になることもある。

【塩田】一番の問題は、やはり民主党です。一体となって新しい政治勢力に結集できるかどうか、党内を説得し切れるかどうか、説得できないときには党を割ってでも野党再編に突き進む覚悟があるかどうかが問われます。

【前原】政権担当時、政務三役や党の要職に就いて立派に仕事をした人たちがいます。野田前首相、岡田克也さん(元副総理。元外相)、玄葉光一郎さん(元外相)、枝野幸男さん(元官房長官)、安住淳さん(元財務相)、細野豪志さん(前民主党幹事長)、松本剛明さん(元外相)など、すごく能力ある人たちです。これからもこの人たちと一緒にやっていきたいと思います。

【塩田】前原さん自身は、野党再編でどんな役割を果たさなければ、と考えていますか。

【前原】党の内外を問わず、さまざまな人脈を駆使してまとめ上げることが大事です。そのために、次に自分にどういう役割があるのかは、まったくわかりません。私心を捨て、野党再編、野党協力に道筋をつけることが、今、私に課された天命・使命と思っています。

前原誠司(まえはら・せいじ)
元民主党代表・元外相・衆議院議員
1962年(昭和37)年4月、京都市左京区生まれ(現在、52歳)。京都教育大学附属高校、京都大学法学部卒。松下政経塾に第8期生として入塾。28歳で京都府議に当選し、1期目の途中で総選挙に出馬。旧京都1区から日本新党の公認で出て初当選した。現在7期目。09年9月、民主党政権の発足で、鳩山内閣の国交相に就任し、10年9月に菅内閣で外相となったが、11年3月に在日外国人からの政治献金問題で辞任した。8月から民主党政調会長、12年1月から野田内閣の国家戦略担当相(経済財政政策担当)を務めた。民主党内で凌雲会(前原グループ)を率いている。民主党リーダー「6人衆」の一人。鉄道ファンで、時刻表マニア。SLの写真撮影が趣味。著書は『日本を元気にする地域主権』(PHP研究所刊)、『政権交代の試練』(新潮社刊)など。
(AFLO=写真)
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