クレームが起きてしまったら

サービスにクレームはつきものです。どんなに細心の注意を払っていても、クレームは起こります。サービスする人がミスをすることもあれば、サービスに落ち度がなくてもクレームが発生することもあり、対応次第では、お客様を失うばかりでなく、所属する組織や業界に甚大な影響を与えてしまう場合さえあります。

お客様からの信頼を失いかねないこの難しい局面で、どのような対応をとれば、クレームを解決し、かつ信頼を維持できるのでしょうか。

苦情を告げるお客様は、すでにその時点で不愉快な気分になっています。その気分に油を注ぐのが、「その件は、こちらではわかりかねます」「その問題でしたら担当はフロントになりますので、フロントにてお問い合わせください」といった言葉です。

「マネジャーに確認してまいりますのでお待ちください」。この言葉もシュルツさんのホテルでは禁句です。

「問題が発生した際には、直ちに対応しなければなりません。そして人任せにはしてはなりません。たとえばあなたがレストランのウエイターだったとします。そして、オーダーを取りに行ったテーブルで、お客様から『部屋のテレビが壊れている』と苦情を受けたとしたら、決して『担当者を呼んでまいりますので、しばらくお待ちください』とお客様に言ってはなりません」。シュルツさんはそう言います。

たとえ自分の所属する部門以外のことでも、シュルツさんは、「直ちに対応し、謝罪する」「自分の問題として、主体的に取り組む」ということをスタッフに徹底しています。

「誠実にお詫びし、直ちにメンテナンス・スタッフをお客様のお部屋に向かわせ、修理することをお客様に保証します。そのうえで、このウエイターは、お許しいただけるようお客様にお願いしなければならないのです」(シュルツさん)