マンションを購入すると月々発生するのが管理費および修繕積立金だ。管理費は共用部分を維持・管理するためにかかる費用を専有面積の比率により負担するもの。修繕積立金は、購入後12~13年ごとに行われる大規模修繕の原資で、この修繕積立金が将来の資産価値を大きく左右するという。

国土交通省のマンションの修繕積立金に関するガイドライン(2011年4月)によると、15階未満のマンションの場合、建築延床面積にもよるものの目安となる修繕積立金額は、平方メートルあたり毎月178円から218円。75平方メートル換算にすると1万3350円から1万6350円になる。機械式駐車場がある場合はここにさらに加算される。

しかし「バブル以前には長期修繕計画自体を設定していなかったり、それ以降でも見た目の毎月支払額を抑えるため、70平方メートルで月額修繕積立金が2000円など非常に低く設定されている例があり、積立金が不足しているマンションは少なくないはず」(旭化成不動産レジデンス・マンション建替え研究所・大木祐悟氏)という。

そもそもマンションの大規模修繕にはいくらかかるのか。

「7~8階建て、50世帯前後なら、通常、1回目、2回目の大規模修繕は4000万~6000万円程度。ところが、3回目、おおよそ36年後になるとこれまで以上に大規模な修繕が必要になる。エレベーターのかご交換だけでも数百万から1000万円くらいかかり、それまでの倍くらいの額がかかる可能性もあります」(大木氏)

また、築30年を超してくると専有部の給排水管等の交換が必要になるケースも出てくる。築33年経った今でも新築時同様の価格で取引されているパークシティ溝の口(三井不動産)の大規模修繕を手がけたKAI設計の菅純一郎氏によると「本来、大規模修繕は共用部が対象。しかし築30年を超すと、専有部でも漏水などが目立つので、このマンションでは総会決議を得て管理組合事業として専有部の給排水管なども交換しました。費用は一戸数十万円。全1103戸ですから馬鹿にならない額ですが、臨時徴収、積立金の値上げなく賄えました」。