いよいよ始まるサッカーW杯ブラジル大会。日本代表が決勝トーナメントに進めるかに注目が集まる一方、ブラジルの通貨レアルや、商品によっては利息が年利10%超にもなるレアル建て外貨預金が気になっている人もいるのではないか。
台頭著しい新興国BRICsの一角として、ブラジルが内外の投資家から脚光を浴びたのは数年前の話。現在そのときの勢いはないが、潜在的なパワーを今なお秘めているのは確かだ。
ブラジルの魅力を語るうえで欠かせないのは、世界最大規模の天然資源国の一つだということ。コーヒー生豆や砂糖、オレンジ果汁の輸出量は世界首位を誇り、鉄鉱石生産量も世界トップレベル。また、近年は巨大な油田も発見されている。
人口は約2億人で内需拡大による経済成長が期待できることに加えて、今年はW杯、2年後にはリオデジャネイロ五輪も待っている。自然と観光収入は上がり、インフラ投資のアップによる雇用拡大や個人消費拡大はほぼ確実のはずだ。
となると、1964年の東京五輪で、その後の日本経済が高度な経済成長を遂げたように、ブラジルもさらに飛躍するのではないか。2000年代の10年間で経済規模が約1.4倍にもなったのだから、お祭り気分でもっと右肩上がりを……と希望的な観測をする向きもあるが、残念ながら現実は違う。
ここ数年ずっと経済成長率は低迷し、今後もそれを上向かせられるかどうかはかなり不透明な情勢、というのが金融関係者の大方の見方だ。なぜ、そういう事態に陥っているのか。
実は、ブラジルの浮沈を握るカギとなる国がある。それは、輸出先トップの中国。ブラジルの成長率が高かった頃は中国も同じく急成長していたが、不動産バブルがはじけるなど、景気減速は誰が見ても明らか。ブラジルから中国への輸出量も落ちた。ブラジル再浮上には中国の景気回復が必須の条件なのだ。