崩れた家計の立て直し方
まず、崩れた家計は「順番」で立て直す必要があります。
老後の家計再建で最も重要なのは、感情ではなく構造から手をつけること。私は最初に、次の3つに分解して整理しました。
①今すぐ止血すべき支出
②5年以内に確実に発生する支出
③収入の下支えとなる資産
この順番で見直すことで、「何から手をつけるべきか」が明確になります。
住宅コストを分解し、ローンを含め、管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税といった一つひとつを見直しました。
これらは全て、削減余地のある変動可能な「固定費」です。
変えられないと思われがちな「固定費」ですが、実は選択によって変えられる余地が多く存在するものです。
年金が出るまでの5年間をどうするか
さらに年金が出るまでの5年間をどう設計するか。
今回の最大の問題は、65歳までの家計収支の赤字でした。ここを乗り切れれば、年金という下支えが入ってきます。つまり対策は明確です。
「5年間をどうやって耐えるか」
私は次の3つの柱で再設計を行いました。
①支出の圧縮(固定費の見直し)
②一次的な資金の取り崩し(退職金の再配分)
③収入の補強(副収入・就労継続)
柴崎さんには、感情的な面と生活面での環境の変化に、覚悟をしてもらう必要がありました。
思い出がたくさん残る部屋だったかもしれませんが、柴崎さんご自身の生活が破綻することは、奥様も望まなかったはずです。
まずは車と月々の駐車場代を見直し、奥様との思い出の部屋をそのまま空き部屋にしておかず、収入の補強に転換できないかを考えてもらいました。
つまりローン返済という負債となっていた資産を、少しでも収益を生むプラスの資産に転換できないかという考え方です。
しばらくすると柴崎さんは、会社の独身若手社員に自宅の空き部屋を月4万5000円で貸すというアイデアを思いつきました。
家賃の値上げに悩んでいた若手社員は、大喜びでその話に乗ってくれたそうです。
収入の補強もできて、その後柴崎さんは赤字家計を改善し、5年間を乗り切るメドも立ったのです。
子か孫ほども年の離れた社員との共同生活ですが、柴崎さんは寂しかった老後人生に不思議な張り合いのような感情も芽生えてきたとおっしゃっていました。

