捕鯨同様に非難の的にされるサメ漁
サメ漁は江戸時代から行われており、日本では古くからサメを大切に利用してきた。しかし現代では捕鯨同様にサメ漁が非難の的にされることが少なくない。気仙沼港の関係者によると、「海外の環境保団体から『日本ではサメのヒレだけを取って捨てている』などといったバッシングがしばしばある」のだとか。
ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)で、ヨシキリザメ、アオザメなど多くのサメ類は輸出国の許可が必要な「付属書II」に掲載されている。
これに対し日本政府は、科学的根拠が十分でないことや、本来的にサメの資源管理は地域漁業管理機関が適切に行うべきといった主張により、「留保」の立場を表明している。
さらに近年は、YouTubeで子ども向け動画「ベイビーシャーク・ダンス」が大ヒットして定番化したり、サメをかわいらしく描いたアニメやぬいぐるみが人気になったりと、キャラクターとして愛される向きが強まった影響もあり、「サメ漁に対する風当たりを感じることは少なくない」(気仙沼港の関係者)という。
学校給食にも使いやすい食材
こうした中、水産加工業者や食品メーカーなどは、新商品を製造・販売し、サメ漁業の現状や適正な利用を周知させながら、食用としての価値を一層高める戦略を展開している。
中華食材を卸売する専門商社「中華・高橋」(東京)は、フカヒレだけでなく、サメ肉に着目。前述の通りはんぺんなどとして大量に消費されているにもかかわらず、「サメを食べたことがあると思っている人はかなり少ない」(高橋滉社長)。そこで、まずはサメ肉がおいしいということを知ってもらうべく、商品開発をスタート。生まれたのがオリジナルブランド「ピーチシャーク」だ。
サメ肉は「マグロのように加熱しても硬くならず、小骨がなくて食べやすい。高齢者向けや学校給食にも使いやすい食材」(高橋社長)であることに着目し、揚げ物などに調理しやすいよう、「さく」のほかスティックやキューブ状に加工した商品を業務向けに販売している。
売り方については、「単にサメ肉とうたっても食べてもらいにくいのではないかと思い、新たな名称を考えた」と高橋社長。サメというと、形が尖っていて魚体は濃い藍色。ならば、これらの真逆で行こうと、サメの身色にちなんで「ピーチシャーク」とネーミング。さらに、親しみを持ってもらおうとイメージキャラクターとして、ヨシキリザメにちなんだ「ヨシ子」さんを登場させた。
今後はフリッターや照り焼き、西京漬けといった総菜も自社製造・販売する予定で、サメ肉の消費を高めながら「すり身から切り身、そして刺し身への利用を模索していきたい」(同)と意欲を燃やしている。


