飛行機もホテルも「有料」なのに…
谷口氏の問題意識の原点は、前職のクレジットカード決済代行会社での経験にある。
「飛行機のチケットもホテルの宿泊も、ネット予約の時にクレジットカード情報を入れるのでキャンセル料を取れる。しかし、飲食店にはそれがない。なぜ飲食業界だけ消費者からあおりを食わなきゃいけないのかと思っていました」
その経済的な損失は、価格に転嫁されるか、店が利益を削って耐えるしかない。
「マナーの悪い人たちのあおりを、きちんとお店に訪問している人たちが受けることになる。相当不平等な世界になっているのです」
また、こうした事態が続いているのは飲食業界特有の気質もある。
「飲食業界の人たちはホスピタリティ業界で、人に喜んでもらうのが好きだからやっている人が多い。たとえ給料がそれほど良くなくても、体力的にきつくても、人を笑顔にしたいという心意気で店を開けています。せっかく仕込みをして準備したのに、お客様がお見えにならなかった時は精神的にもショックを受けます」と谷口氏は語る。
キャンセル料を自動で請求する機能を導入
2011年、谷口氏はTableCheckを創業、紙の台帳で予約を管理していた飲食店の業務をデジタル化することに取り組んだ。そして2017年には、予約時にクレジットカード情報を取得し、ノーショーや直前キャンセル時にキャンセル料を自動請求できる機能を導入した。
その後、「食べログ」や「ぐるなび」、「一休.comレストラン」といったグルメサイトも手を打った。
食べログは2018年、保証会社と組んで「ネット予約無断キャンセル保証サービス」を始め、大人数の予約で客が来店しなかった場合に、店の損失の一部を補填する仕組みを導入した。ぐるなびも2021年11月に、加盟店向けの「無断キャンセル保険」を始めている。
一休.comレストランでは2021年4月にクレジットカードによる決済を開始、店やプランによっては予約時にクレジットカード等の登録を必要とした。登録を行った場合、無断キャンセルを含むキャンセル料は登録したカードで決済され、一休.comレストランを経由して店に支払われる仕組みとなっている。
また、無断キャンセル以外に谷口氏が問題視しているのが、グルメサイトの手数料の仕組みだ。
「グルメサイトは当初、月額掲載料のみで、新規集客のための広告として使われていました。そのうちネット予約への対応が進み、予約1件ごとの『送客手数料』という従量課金が上乗せされるようになりました。食べログの場合、ディナーは1名あたり200円、ランチは100円(いずれも税抜)が、月額掲載料に加えて発生します。
今まではグルメサイトで知り、電話で予約が入ってもお金は取られなかったのに、ネット予約対応によって送客手数料が取られる状況になっている。でも、忙しいときに電話対応するのも大変。このあたりは店舗側としてジレンマになっている状況です」

