台湾有事の影響はホルムズ海峡の比ではない
太平洋を米国と中国が東西に分割するというのは、日本にとっていかなる意味を持つのか。非常に厳しいことは言うまでもない。
第一に、台湾有事のリスクが高まると同時に、統一が現実化するリスクも増す。米国が西太平洋は中国の勢力圏と認めることが仮にあれば、中国はもっと強引な形で統一を試みるだろう。
現在ですら、米国がイラン戦争のために航空母艦を中東地域に派遣しているため、太平洋に力の空白が生まれているとの懸念もある。まして、勢力圏の存在を公に認めれば、中国の拡張主義が加速することは当然だ。
台湾が落ちれば、シーレーンに頼る日本は海上封鎖のリスクや輸送コスト上昇に直面する。影響はホルムズ海峡封鎖の比ではない。さらに軍事的にも中国からのさらなる圧力や脅しに直面するだろう。
西太平洋は「中国の海」になってしまうのか
第二に、太平洋が米中で分割されれば、ハワイ以西の国々は軍事的圧力の下、中国に支配されるリスクが高まる。
中国モンゴル専門家の楊海英氏は、2017年にニューズウィーク日本版で以下のように指摘した。
「ハワイ沖に米中中間線が引かれ西太平洋が『中国の海』となれば、没落する『帝国』アメリカと新興の『中華帝国』による世界分割となる。台湾は『祖国の懐に復帰』し、日本は『中華人民共和国ヤマト自治区』になるかもしれない」
自治区に組み込まれ、弾圧されているウイグルや内モンゴルの実態は言語に絶する。太平洋西半分が中国の勢力圏と認められるようなことがあれば、ウイグルなどで起きていることが、日本でも起こりうると筆者は考える。
中国は、米国が24日の首脳会談までに台湾への新たな武器供与を承認した場合、トランプ大統領との会談を中止する可能性があるとの立場を米側に伝えたと報じられている。今後、米中首脳会談で常に台湾問題を協議することを約束させようとしている。
G2の枠組みの下で太平洋の東西分割を提案しつづけ、協議の末に勝ち取る。それが中国の長期的な狙いなのだろう。
両首脳は台湾問題をどう扱い、両国の関係をどう描くのか。米国はディールのために西太平洋へのコミットメントを弱めないか。戦略的な視点から見る米中関係の推移と日本を取り巻く安全保障環境は厳しい。
日本としては米中関係がどのように変化しているかを見極めつつ、中国の拡張主義を抑止するために自国の防衛力を一層強化し、同盟国と更に協力しながら太平洋分割を阻止する努力を尽くすべきと筆者は考える。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


