テレビ番組でボツになりかけた解説

健康を扱ったテレビ番組や雑誌の健康特集でも、加糖飲料の弊害については、ほとんど取り上げられることがありません。

以前、ローカルテレビ局の健康番組に出演した際、加糖飲料の弊害を話そうとしたところ、番組製作者側からストップがかかったことがあります。

その健康番組は、専門医が自分の専門分野の疾患について、毎日5分程度の解説を5日間行うという内容で、私は脂肪肝についての講義を担当させていただきました。

製作者の依頼で出演前にあらかじめ講義に用いるすべてのスライドとその解説原稿を作成し、番組担当者に送りました。

そのうち、「脂肪肝の最大の原因は加糖飲料である」ということを解説する回のスライドと原稿が、まるまるボツになって返ってきたのです。

担当ディレクターから「スポンサーへの説明を要する可能性があるので、別の内容に差し替えてほしい」とのメールが届きました。

私は「加糖飲料をやめること」が脂肪肝を改善させる最重要のメッセージだという自分の考えを説明し、「差し替えることはできません。この内容をお伝えできないのであれば、出演も辞退させてください」とメールしました。

幸い製作者の方の理解を得ることができ、ボツになることなく番組で解説することができました。そのときの一度ボツになりかけたスライドが図表3です。

【図表3】飲み物はお茶か水かブラックコーヒー!
出所=『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)

メディアは健康になるための情報を求める視聴者、購読者を対象としていても、スポンサーの利益を優先させることがあります。

スポンサーが自社の商品の売り上げに悪影響がある可能性のある情報を、あえてカットするのは当然の行為ですし、製作者がスポンサーの意向にこたえることは、仕方のないことかもしれません。

本書が健康によいものをおすすめすること以上に、健康に害があるものについての情報を強調しているのは理由があります。

自分のチカラで伝えられていない情報に気づくことは、伝えられている情報の間違いを見つけることより、はるかに難しいことだからです。

ジュースのほうが肝臓への悪影響が大きい

オレンジをむいて食べることや、野菜を調理して食べることと、オレンジジュース、野菜ジュースを飲むことには、肝臓への影響に違いがあるのでしょうか?

体の中に入ってしまえば同じと考えてしまいそうですが、実は液体でとった場合のほうが、肝臓への悪影響が大きくなることがわかっています。

すなわち、果糖は、急速に摂取すると直接肝臓を傷つけ、ゆっくり摂取すると小腸細胞の作用によりブドウ糖に変換されることが判明したのです。

この新知見は2018年、プリンストン大学の研究チームから報告されました。研究チームは、食べた糖が、体の中でどのように代謝されていくかを精密に調べるために、炭素13の安定同位体で標識したブドウ糖や果糖をマウスに摂取させる実験を行ったのです。

【図表4】小腸は食事でとった果糖をブドウ糖と有機酸に変換する
出所=『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)

この実験により果糖は摂取する量が少ないと、小腸細胞内の酵素で処理されてブドウ糖と有機酸に変換されること、また、摂取する量が多いと、小腸での処理能力には限界があるため、ブドウ糖や有機酸に変換しきれずあふれ出して、果糖として直接肝臓に向かうことが判明しました。

これまで摂取された果糖は、小腸から吸収されて、ほぼ100%肝臓に向かい、肝臓だけで代謝されると考えられていました。今回の実験で、この通説が間違いであることが証明されたのです。

果糖をブドウ糖や有機酸に変換しているのは、小腸の細胞内にあるケトヘキソキナーゼという酵素であることも明らかになりました。

実際にこの酵素をノックアウトしたマウス(遺伝子操作によりこの酵素を分泌できなくなったマウスのこと)は、果糖がそのまま門脈経由で肝臓に行くことがわかりました。