果糖による直接的な肝障害を防ぐ対策
つまり、小腸細胞には果糖が直接肝臓にいくのを防ぐ役割があることが判明したのです。この論文を読むといくつかの疑問が湧いてきます。
まず、ヒトではどのくらいの量の果糖が、小腸で処理できるのかということです。
処理できる許容量を知ることができれば、果糖による直接的な肝障害や肝臓の脂肪化を予防することができそうです。
もう1つは、果糖をより肝毒性の少ないブドウ糖に変換する酵素の活性を上げる、あるいは内服薬によって酵素の量を増やすことはできるのかということです。
砂糖たっぷりのスイーツを食べてしまった後に、小腸の果糖代謝機能を上げる薬があればいいと思いませんか?
この文章を書いている2022年6月の時点では、ヒトを対象にした研究で、上記のいずれの質問に対する答えもまだ出ておりません。
しかし、マウスによる研究結果であっても、果糖による直接的な肝障害を防ぐ対策が見えてきました。
もう、加糖飲料は怖くて飲めない
果糖を最も急速に小腸に送り込む方法は、多量の砂糖あるいは果糖ブドウ糖液糖を水に溶かして飲むことです。
市販のオレンジジュースや野菜ジュースは、製造の過程で糖の吸収を遅らせる作用のある不溶性食物繊維がほとんどすべて取り除かれています。
ゆえに砂糖水として一気に小腸に向かい、ブドウ糖に変換されずにあふれた果糖が肝障害を起こすのです。
一方、グラス1杯の果汁分のオレンジを食べるにはジュースを飲むよりも、時間がかかります。
さらに果汁は不溶性食物繊維の粒の中に閉じ込められているため、小腸で吸収されるには時間がかかるのです。ゆっくり摂取されると果糖はブドウ糖に変換され、肝臓への直接的なダメージは軽減されます。
一度に小腸に到達する砂糖、果糖ブドウ糖液糖が多いほど肝臓が脂肪化し、肝障害が起こるのです。もう、加糖飲料は怖くて飲めませんよね。
本項をまとめましょう。
2 糖質の中でも、砂糖と果糖ブドウ糖液糖が特に脂肪化を促進し、肝障害を与えている
3 砂糖、果糖ブドウ糖液糖の成分の中でも、果糖が特に肝臓に毒である
4 加糖飲料を飲むことが、最も肝臓に悪影響を及ぼす
ご理解いただけたでしょうか? 脂肪肝を改善するには、肝臓にダメージを与える食材をやめることが最優先です。
たとえば肺炎の治療中に、咳をしながらタバコを吸い続ける方がいたら、あなたはどのようなアドバイスをしますか。
「タバコをやめないと、肺炎は治らないよ」ですよね。
同様に脂肪肝を治したいのに、砂糖や果糖ブドウ糖液糖入り食材を毎日多量にとっている方にはどう声をかけますか?
「加糖飲料をやめないと、脂肪肝は治らないよ」
肝臓専門医なら間違いなく、こう答えるはずです。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


