1日1歩の改革を365日続けると大きな変化になる
自ら変化したいと望む人。あるいは、外からの圧力でイヤイヤ変化せざるをえない人。仮に前者を「リード型」、後者を「黒船型」とすると、現在の日本には圧倒的に後者のタイプが多いように感じられる。
リーマン・ショックという「黒船」の突然の来訪に、「変わらなければならない」とわかってはいても、急速な変化にどう対応すればいいのかわからない。迷走する企業の中には、社長自らが方向性を明確にできず、右往左往しているところも少なくないようだ。刻一刻と外界が変化していく時代にこそ、リーダーは自らが変化を起こす、つまり、変化を「リードする」存在でありたい。
「我々はどこにいきたいのか」「どういう未来を望んでいるのか」など、自己質問を繰り返し、自らが変化に対して柔軟に対応しながら皆を引っ張っていく力こそが、今のリーダーに求められる重要な資質なのではないか。
永続的に成長を続けている企業にも、同じことが当てはまるように思う。それは「朝令暮改を恐れない」というものだ。日本には創業数百年という長寿企業があるが、そのいずれもが、家訓や本業の軸はしっかり持ちながらも、細かい軌道修正を続けながら改善を行ってきた。成功した瞬間にも、「ほかに方法はなかったか」と自問自答する。この、「一瞬たりとも美酒に酔わない」精神が長寿企業には感じられる。
今好業績を挙げている企業には、中長期計画を持たず、1週間単位で方針を決定していくようなところもある。とくに今のように刻々とビジネス環境が変化する時代には、たとえ小さなことでも、日々変化し続ける文化のある会社は強いように思う。グローバルで競争力を高めていくには、リーダーにも、組織全体にも「変化への柔軟な対応力」が求められているのではなかろうか。
そもそも、人にとっても組織にとっても「変わる」のは難しいことである。実績があればあるほど現在の変化を客観的に捉えることが難しくなる。また、これまでのやり方を否定し変更することは、自ら、あるいは自社のアイデンティティ喪失に直結すると錯覚してしまうのだろう。我々コーチの役割は、そこを乗り越え、新たな境地を開くためのサポートともいえる。すなわち、私たちコーチは、「問い」や「フィードバック」を通して「変わること」をコーチしているのだ。