株価半減でも「成長の土台」は崩れない

価格が緩む局面が来ても、それだけでキオクシア固有の客離れを意味するわけではない。トレンドフォースが想定するのは、AI・サーバー向け需要が伸びる一方、層数の多いNANDへの生産切り替えや中国勢の増産で供給が増え、スマートフォンやノートPC向けの弱さも重なって、NAND全体の需給が均衡に近づくシナリオだ。

この場合、単価の下落で利益率は低下し得るが、企業向けSSDの市場拡大や出荷量の伸び余地まで失われるとは限らない。株価が映しているのは、客離れが確認された事実というより、現在の高い収益性がどこまで続くかという不確実性である。

AI向け需要の拡大は、NAND業界全体への追い風である。ただし、その追い風を実際の売上に変えるには、顧客基盤、製品、供給能力が必要になる。キオクシアはデータセンター・企業向けの出荷量が過去最高で、主要顧客への採用実績があり、既存棟の増強とFab3の準備も進めている。需要が増えるだけではない。その需要を取り込む成長の土台が、すでにある。

さきほど紹介した四日市工場と北上工場は、米国企業のサンディスクとの共同事業だ。重要なのは、次世代NANDを開発・量産する人材や設備、取引網が日本に残ることである。キオクシアがAI向けストレージの需要を取り込み続ければ、国内の雇用や技術者育成に加え、装置・素材メーカーの事業にも好影響が期待できる。

AI時代の「記憶」を国内産業へつなげられるか。その中心に、キオクシアがいる。

半導体
写真=iStock.com/Thicha studio
※写真はイメージです

検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます

【関連記事】
「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋
「スキマ時間にメール返信する人」は仕事がデキない…キーエンスの営業部隊が組織的に実践する"時間ハック"
帝国ホテルでも椿山荘でもない…「ミシュランガイド」が太鼓判を押した意外すぎる日本のホテルの名前
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」
「三菱商事"採用大学"ランキング」を見れば一目瞭然…学歴社会・日本で成功に必要な「出身大学の最低ライン」