充実した老後を過ごすには、どうすればいいのか。芝浦工業大学の原田曜平教授は「いま定年を迎えている1960年代生まれの人は、上の世代と仕事に求めるものが違う傾向がある。老後の仕事を選ぶときは“3つの条件”を参考にしてほしい」という――。

※本稿は、原田曜平『「キラキラシニア」という生き方:バブル世代・新人類世代 定年前後のライフシフト』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

電卓を使用して計算しているシニア女性
写真=iStock.com/Pressmaster
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月10万円を稼ぐための「小さな仕事」

これまでのシニア以上に、途方もなく長期にわたる「後半戦」の生活を維持するために、定年後も働き続けることを選択する――あるいは、選択せざるを得ない。そんなバブル世代・新人類世代のシニアが急増しています。

こうした状況下でビジネス書として異例の大ヒットを記録したのが、リクルートワークス研究所の坂本貴志氏による著書『ほんとうの定年後』です。

この本がこれほどまでに多くの読者に支持されたのはなぜか。それは、定年を迎えたらお金も仕事も底を突き、みじめな老後が待っているのではないかという、この世代が抱く漠然とした、しかし、底知れない恐怖に対して、極めて現実的で地に足のついた「解」を提示したからにほかなりません。

その解こそが、同書の核心である「小さな仕事」という生き方です。

『ほんとうの定年後』には、「定年後は月10万円程度稼げばやっていける」と記されています。夫婦2人の年金が月額約20万円あるとすれば、この「小さな仕事」で月10万円を補うだけで、計30万円。ある程度貯蓄があれば、60代後半から十分にゆとりのある生活を送ることが可能になります。月に10万円稼ぐための現実的な選択が「小さな仕事」というわけです。

「現役時代よりも幸福度が高い」結果

あらためて「小さな仕事」を端的に説明すると、「必ずしも高度な専門性を要しない職種」であり、なおかつ「短い時間で無理なく働きたい」という希望を叶えるものということになります。

同書に具体的に挙げられているのは、マンションの管理人、警備員、スーパーや小売店のスタッフ、清掃員、地域の見守り、配送補助、施設の管理といった、私たちの社会や地域を文字通り足元から支える仕事(現業職)の数々です。

【Close-up:得するシニアVS損するシニア】はこちら
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坂本氏の精緻な調査データは、極めて意外な「不都合な真実」――否、「幸福な真実」を明かしています。

現在、実際に「小さな仕事」に就いているシニアたち(80代のキネマ世代から、70代の団塊世代、60代のしらけ世代まで)の多くは、周囲の心配をよそに、退職間際に抱いていた本人の大きな不安に反して、驚くほど高い労働満足度を感じているのです。それどころか、「大きな責任」を背負って高給をもらっていた現役時代よりも、退職後に「小さな仕事」をしている今のほうが、幸福度が高いという人がなんと多数派を占めていると述べています。

たとえば、大手住宅メーカーで働いていた男性が、定年後に包丁研ぎの仕事をする。自衛隊の幕僚監部だった男性が、定年後に病院の女性看護師寮の管理人として働いている。それでも、「今の仕事は楽しい」と笑顔で答えるケースが多々あると紹介しています。