住宅ローン以外にも多額な借金がある場合には、個人再生手続を申し立てる方法がある。住宅ローン以外の借金(一般債権)は、8割までカットすることが可能だ。場合によっては(通常再生)、それ以上のカットも不可能ではない。住宅ローンの減額はできないが、個人再生の申し立てをすれば、銀行も交渉に応じてくれやすくなる。
個人再生が利用できない場合や、住宅ローン以外に借金はない場合には、任意売却という選択肢がある。滞納が続くと、銀行は保証会社から補てんを受け、住宅は競売にかけられるのが一般的。
任意売却でも、競売でも、売却代金で住宅ローンが完済できない場合は、残りの住宅ローンは返済を続けなければならない。しかし、競売が市場価格の5~7割でしか売却できないのに対し、任意売却なら、市場価格に近い価格で処分できる。高く売れれば、その分、住宅ローンの残債を抑えることができるのだ。また、競売の場合は、隣近所に競売の事実を知られる可能性もある。
競売よりもメリットの多い任意売却だが、任意売却後に自己破産などをした場合には、任意売却が適当であったのかなど、内容などが厳しくチェックされる可能性がある。問題が見つかるとトラブルになるリスクがあるので、任意売却をする際には、専門家と相談のうえで実行したほうがいいだろう。
(構成=向山勇 図版作成=ライヴ・アート)