40代以上の世代は「自分たちの世代は何とか逃げ切れるかも」と考えているかもしれない。それは間違いだ。実は、妻のあり方によって受給額に大きな違いが出る――。

20年間で1144万円の差が出る

現行の年金制度の下では、基本的に年齢が若いほど払った額に対する年金受給額は少なくなる。40代より上の世代は、「自分たちの世代は何とか逃げ切れるかもしれないが、若い人は本当に大変だ」などと考えているのではないだろうか。

だが、現実は違う。妻のあり方によって受給額に大きな違いが出るのだ。まず、現在65歳で現役時代の40年間、厚生年金に加入していた夫(平均報酬月額36万円、ピーク時の年収は800万円程度と仮定)とずっと専業主婦だった妻の場合で試算すると、公的年金の受給額は月23万1648円。年間では約278万円になる。

そして現在、46歳の夫(23歳から38年加入、平均報酬は2003年3月まで月36万円、それ以降は44万円)、45歳の専業主婦(23歳から7年間厚生年金、その後夫の扶養家族として31年間は国民年金加入)の場合、年金の受給開始は65歳から。夫婦2人の受給額の合計は月額約23万円、年間275万9200円だ。

対して30代ではどうか。現在、36歳の夫(38年加入、03年度まで平均報酬32万円、それ以降は41万円)と、35歳の専業主婦(前述の40代妻と同条件)で試算すると、2人分の受給額は月額約22万円、年間262万7300円。40代より年間約12万円少ない。

しかし、これはあくまでも「妻が専業主婦」という想定で試算したものだ。前出の30代の例で妻が会社員(03年度までの平均報酬26万円、それ以降は32万円)で、ピーク時の世帯年収が1000万円程度と仮定して試算しなおすと、妻自身の年金額は年間約67万円アップ。結果、夫婦の年金は月額約27万7600円、年間333万1200円となり、40代の専業主婦世帯より月額約4万8000円、年間約57万円も多くなる。年金受給後は給与収入がゼロになると仮定すると、85歳までの20年間では、世帯で実に1144万円もの差が生じることになる。