現在、リタイア層の平均的な生活費は月26万円程度。30代でも共働き夫婦なら年金だけで生活できる可能性が強い。

一方、40代の年金月額は約23万円。普通のサラリーマンで妻が専業主婦の「昭和夫婦」世帯はギリギリの生活になるだろう。40代はバブルを経験している世代であり、30代に比べて支出過多の傾向にある。住宅ローンや教育費が残っている場合はより厳しくなる。仮に月5万円の上乗せが必要なら、65歳からの20年分として1200万円の準備が必要だ。

会社員の夫をもつ専業主婦は「第三号被保険者」として今のところ国民保険料の負担はないが、民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」の年金改革原案によると、夫の収入の半分を妻の収入とみなして保険料を徴収する案を盛り込む方向で調整されている。もし保険料を徴収されるようになると昭和夫婦の状況はさらに厳しくなる。

総務省統計局の平成22年国勢調査によると、女性の労働力は増加、共働き家庭も増加傾向にある。夫婦で頑張れれば若い世代でも安泰の可能性が高い。現在、特に妻が正社員で働いている場合は安易に退職すべきではないだろう。

しかし、妻が40代の専業主婦の場合は、そう簡単に正社員の職は見つからないだろうし、今さら時給数百円のパートで働けるかどうかも疑問である。

老後については収入だけでなく、支出の側面からも考える必要がある。年金受給額の見込みは毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」や日本年金機構HPの年金額簡易試算などで確認できる。26万円という支出はあくまで平均なので、年金で生活できるよう、すべきことを夫婦で考えるべきだ。妻が働かないなら今から支出を抑えて貯蓄に励むしかない。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=高橋晴美)
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