東日本大震災によって停滞していた首都圏のマンション市況だが、ゴールデンウィーク頃から回復基調にある。
震災による値下がり期待を持つ人もいるだろうが、価格は総じて横ばい。むしろ、被災地の復興が本格化すると、資材不足から建築コストが上昇し、価格が上がる可能性すらある。阪神淡路大震災後も、被災者の買い替えの増加で価格が上昇した。
ただし液状化被害があった湾岸エリアは別だ。特にタワー物件はエレベーターが止まり、徒歩で上り下りした話も聞かれ、今後の新規供給および中古流通への影響は小さくない。
中古マンションは、今のところ流通件数、価格ともに震災前と大きな変化はないが、やはり湾岸エリアは買い叩かれる可能性があるため売り控えが出ている。また、築年の古い物件は全体的に流通が減り、価格も落ちている。特に現行の耐震基準が施行された1981年6月以前に建築確認を取った旧耐震物件は今後安くなる可能性が高い。ただ、古い物件すべてが耐震性に問題があるとは限らないので個別性を重視する必要がある。
購入環境においては、住宅ローン減税など追い風が吹いている。年末のローン残高が4000万円以上あるなど条件を満たせば、年間40万円、10年間で最高400万円まで控除が受けられる。親に援助してもらえる場合は、贈与税の非課税枠拡充も見逃せない。基礎控除を併せて1110万円分が非課税になるため、相続税対策にもなる。
住宅ローンも提携ローンを利用した場合、変動金利なら2.475%に1.2~1.5%の金利優遇が受けられる。実質1%前後という数字は、史上空前の低金利といってよいだろう。