認知症は病気というより「老化現象」
確率的に高いリスクに対しては、どう向き合えばよいのでしょうか。
まず、有効なリスク回避策や予防策があるなら、とりあえずその策を講じるとリスクも不安も低減されます。
簡単にリスク回避できることばかりではありません。日常生活で多いのは「それなりの努力がいるけれど、まったく回避できないわけではない」リスクです。
高齢化が進み、健康志向もずいぶん高まりました。「○○にならない体を作る」とか「○○の予防にはこれが効く」といった情報があふれています。
中でも多いのが「がん」と「認知症」です。それもそうでしょう。高齢になるほどかかりやすくなる「がん」は、人生100年時代の今、統計上では2人に1人がかかる計算です。認知症は、85歳以上の有病率が40%を超えるといわれています。
私はかつて高齢者専門の総合病院に勤務していたことがあります。その当時、年間100例ほどの解剖が行われていました。その解剖例から、85歳以上になると例外なく、脳にアルツハイマー型の神経の変性が生じていることがわかりました。つまり、認知症は病気というよりは、誰にでも現れる老化現象です。
「高齢になれば、がんにかかる」とする理由
これだけの高確率でがんや認知症になる以上、「自分だけは例外」と断言はできません。皆、頭のどこかで「なったら嫌だな」「なったらどうしよう」と思っています。だからこそ「認知症にならないためには」「がんにならないためには」といった本が売れ、情報があふれるわけです。
しかし、長年、予防法を実践しても、がんになる人はいますし、認知症も個人差はあれど、高齢になれば誰もが通る道です。回避策や予防法の有効性が科学的に証明されても、100%回避できることを保証するものではありません。
そうなると「どんなに気をつけていても、高齢になれば、がんにかかって当然。認知症になるほうが自然」と考えたほうがよいのです。
結局、どんなリスクもゼロにすることはできません。そのリスクが高確率で起こることなら、それを「そんなもんだ」と受け入れざるを得ないのです。それを受け入れない限りは、悩み続けるしかなくなるからです。
将来的には「がんにかかる」「認知症になる」ことを前提にして、その先のことを考えるほうが建設的であり得策です。
まず「高齢になったら、がんになるのが普通。認知症になるのが自然」と割り切る。これが不安解消に向かうための最初のステップです。
そして次のステップは、「その先のことを考える」。つまり、がんや認知症になったら、どんなことが起き得るのか、それに対してどのような備えをしておけばよいかを考えるのです。

