不安や恐怖の感情とはどう向き合うといいか。医師の和田秀樹さんは「私はよく受験生から『不安で勉強が手につかない』といった相談を受けるが、それは不安感情に支配され、振り回されている状況と言える。『マイナス感情を持ってはいけない』と意識してはいけない」という――。

※本稿は、和田秀樹『落ち込まない 考えすぎない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

試験を受ける学生
写真=iStock.com/b-bee
※写真はイメージです

「悩みや不安をすべて消す」は大間違い

マイナス感情を抱え込んで「自分はハッピーだ」と思える人は、そういないでしょう。自分を苦しめるものから解放され、ごきげんに生きていきたい。悩みも不安も、マイナス感情も劣等感も、消してしまいたい。そう思うのではないでしょうか。

しかし、悩みや不安といったマイナス感情をすべて消してしまうのは不可能でしょう。また、そうするのがよいのかというと、そうともいい切れないのです。

なぜなら、悩みや不安は、人を成長させたり、何かに挑戦したり、成し遂げたりするためのエネルギーになるからです。

古代アテナイの三大悲劇詩人の1人でギリシャ悲劇の祖とされるアイスキュロスの名言に「悩みによってはじめて知恵は生まれる。悩みがないところに知恵は生まれない」という言葉があります。悩みは知恵の源泉でもあるのです。

「ポジティブ人間」と「ネガティブ人間」というように、人のタイプを二つに分けるのが流行った時期がありました。

ポジティブに生きれば、明るく楽観的な気持ちで、さまざまなことに興味を持ち、行動的になれるので、チャンスに恵まれやすくなります。確かに、ポジティブであることにはメリットがあります。