不安を力に変える行動を選ぶと不安が和らぐ
神経症の治療法として世界的に知られる「森田療法」では、人が不安になるのは、「生の欲望」つまり、生きる欲望があるからだと考えています。
対人関係が不安な人は、人と良好な関係を築きたいという「生の欲望」を持っています。病気が不安という人は、健康でいたいという「生の欲望」を持っています。森田療法では、こうした欲望に素直になりなさいと言っています。
対人関係を良好にしたいなら、どうしたら人とよい関係を結べるかを考え、実践する。健康でありたいなら、自分に合った健康法を探して、それを実践する。
このように「生の欲望」を活かして、不安を力に変える行動を選んでいけば、結果的に不安が和らいでいくのです。
怒りや妬み、悲しみ、悔しさなどの感情も、成長の原動力になります。
親しくしている同僚がいち早く課長に昇進した。祝福しても、先を越された悔しさもあるでしょう。そうならば、自分も負けてはいられないと考えることで、悔しさを力にできます。
「彼は立ち回りがうまくて上司のウケもいいからな」「それにひきかえ自分は要領が悪くていつも損している」などと悔しさや嫉妬心を引きずっているだけでは、前に進むことはできません。
マイナス感情は、向き合い方一つで力に変えることができます。その力を活かして、現実をよい方向に向けていくこともできれば、未来をよりよいものに変えていくこともできるのです。
劣等感を「できない理由」にしない
アドラー心理学では「劣等コンプレックス」という言葉を使います。劣等感と劣等コンプレックスの違いはどこにあるのでしょうか。
劣等感とは、比較する対象や理想の自分と比べたときに生まれる「自分はまだ未熟だ」という感情のことを指します。「あの人の営業力にはかなわない」「ダンスが上達しない」といったように、私たちは日常的に劣等感を抱くことがあります。
しかしアドラーは、劣等感自体は悪いものではなく、成長の原動力になると考えました。重要なのは、その劣等感を「前向きに活かすか」それとも「言い訳にしてしまうか」です。
劣等コンプレックスとは、自分が劣っていると感じる部分を「変えられないもの」と決めつけてしまう状態です。「背が低いから交際相手が見つからない」「太っているから面接に落ちた」といった考え方は、劣等感を「自分が行動しない理由」として使っています。
このように劣等感を行動の制限理由にすると、人は成長のチャンスを逃しやすくなります。
では、どうすれば劣等コンプレックスから抜け出せるのでしょうか。
まず大切なのは、劣等感を持つこと自体は自然なことであり、それを無理に消そうとしなくてもいい、という考え方です。劣等感があるからこそ、人は努力し、成長しようとします。問題なのは、それを「できない理由」にしてしまうことです。
例えば、口下手だと感じている人が「どうせ話しても伝わらない」と思ってしまうと、会話を避けるようになり、人と話す機会を失います。しかし「自分は聞き上手になろう」と意識を変えれば、むしろ人間関係を築くうえでの強みになり得ます。
また、劣等コンプレックスから抜け出すためには、「自分に足りないもの」ではなく、「自分がすでに持っているもの」に目を向けることが大切です。

