消費者にとって安価は好ましいが…

しかも、2025年産米を買い上げてくれるとなると、集荷業者は在庫を損失を出すことなく処理できる可能性が出てくる。政府の買い入れ価格次第ではあるが、市場で処分しようと思えば、大きな損失が出る可能性もあったわけで、政府様様という事になるのではないか。農協をはじめとする集荷業者を救済する補助金を出すのに等しいという見方もできそうだ。

消費者にとっては主食であるコメの価格が安定的に安価であることが好ましい。一方、農家にしてみれば60キロ2万円以下ではコストを賄うことが難しいという話になる。しかも物価高騰で農業機械を動かす軽油やガソリンも、輸入原料に頼る肥料も包装資材も何もかも価格が上昇している。今年、コメ価格が大幅に下がれば、コメ作りをやめる農家も出てくるという話が連日、テレビニュースでも流れている。

収穫前の稲穂を確認する農家の人の手元
写真=iStock.com/jxfzsy
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価格を底上げしても農家はジリ貧になる

だからといって、農水省が価格をコントロールしようというのは所詮無理な話だ。備蓄米の放出や買い戻しによる価格変動だけではない。農水省は減反政策は取りやめたと言ってはいるが、家畜用の飼料米に対する補助金を大幅に増やすことで人が食べるコメの生産量を減らすように誘導するなど、形を変えた減反政策を続けている。

国内消費量の減少に合わせて生産量を減らすことで価格を維持させようとしてきたが、市場機能に国が人為的に介入しようとしても中長期的には市場を歪ませるだけで、そのツケはいずれ跳ね返ってくる。

備蓄米の買い戻しで価格を底上げすることができたとして、高止まりする米価に国民が拒絶反応を示して消費を減らせば、中長期的には農家の売り上げは増えず、ジリ貧になっていく。