2025年産が新米より高いという珍現象
そして迎えた2026年、新米の流通がいよいよ始まるという段階になって、価格は大幅に下落する気配を見せている。というのも、2026年7月末時点で、民間在庫量は162万トンと過去最多に達した。1年前の在庫は92万トンで、何と70万トンも増えたのである。背景にはコメの価格が高騰したことで、農家が作付けを増やしたことと、一方で、高価格を嫌った消費者がコメを敬遠、販売数量が減少したことがある。2025年産米の全国の集荷量は269.5万トンで、前年同月比26.3万トン増加。一方で、販売数量は170.6万トンと23.4万トン減少した。
早場米が店頭に並び始めたことで、消費者が目にする価格にも大きな変化が出てきた。昨年秋時点での2025年産コシヒカリの新米は、5キロの店頭小売価格で4500円を超えていたが、ここへ来て3500円を下回る価格まで下がってきていた。在庫を抱えた業者が損失覚悟で早めに処分を進めようとしている姿が浮かび上がった。
一方で、2026年産の宮崎県産コシヒカリの新米が2592円といった価格で首都圏のスーパーで売られ始めており、2026年産新米よりも2025年産の方が高いという珍現象が生じ始めていた。2026年産に関しては、農協などが事前に農家に支払う概算金(仮渡金)が前年よりも40%下がっているケースが相次ぎ、消費者が購入する価格も大幅に下がることが確実視されている。
新米の価格は維持されると考えるのが普通
農協などコメの集荷業者からは夏前の段階で、備蓄米の買い戻しを求める声が上がっていた。備蓄米の買い戻しをすれば、下がり始めたコメの価格が再び高騰することになりかねないとして、高市早苗首相がなかなか首を縦にふらなかったと言われる。物価上昇の象徴的な品物であるコメの価格をこれ以上上昇させれば内閣支持率は大きく下がることになりかねないと危惧したと言われる。
買い戻しを公表した農水相が価格に影響を与えないと言い張る理由はそこにある。木原稔官房長官も「足元の環境は供給不足が生じる見込みが低く、今般の買い戻しは、今後の流通の大宗を占めることになる新米ではなく、古米となった令和7年産米を対象とするものであり、市場の価格動向に大きな影響を与えることはない」と会見で述べていた。
買い戻しの対象は新米ではなく、2025年産米だから、価格に影響は与えないという理屈だが、果たしてそうなるか。業者が在庫を投げ売り処分する必要がなくなれば、価格は下がらず、新米の価格も維持される事になると考えるのが普通だろう。

