相談されなくなった上司たち

上司の負荷の話を、もう一段掘り下げたい。減った負荷のほうである。

【図表3】生成AI利用頻度別「上司とAIの比較」(あてはまる・計、%)
出所=パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」

同調査でメンバー層に、上司とAIのどちらがあてはまるかを尋ねた結果は、AIをよく使う層ほど、上司の「相談代替」が進んでいっていることを明確に示している。「相談する頻度が多い」のはどちらかという問いに、AIヘビーユーザーの30.0%がAIと答えている(ライトユーザーは15.8%)。「情報処理・整理ができる」ではヘビーユーザーの29.5%が、上司ではなくAIを選び、逆転した。

先ほど見た相談負荷の軽減は、全体の相談が減ってきたことにつながりそうだ。しかし、相談の現象は、部下の情報を得る回路が細くなっていることも同時に意味する。「部下の状態を知る」という軽い接触は、今後も失われていくかもしれない。

「上司不要論」は誤り

ただし、こうした相談代替の現象は、上司が全面的に不要だということを意味しない。

仕事の「最終の判断・意思決定ができる」のは上司だと49.7%が答え(AIは12.3%)、「会社の文脈を理解している」も上司44.7%(AIは13.8%)と、決定的な差が残っている。巷でたまに耳にするAIによる「上司不要論」は、データからも現実的ではない。

【図表4】上司とAIの比較(あてはまる・計、%)
出所=パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」