「どうすればいいと思う?」の絶大な効果
心理学のある実験では、参加者を2つのグループに分け、アナグラム(文字を並べ替えて別の単語を作るパズル)に取り組む前の「自分への語りかけ方」をそれぞれに変えました。
一方のグループは「自分はこれに取り組むだろうか?」と疑問形で考える。もう一方は、「自分はこれに取り組む」と断定形で考えました。
結果、疑問形で考えたグループの正解数は平均2.60問、断定形は平均1.84問と、疑問形のグループのほうが有意に高い成績を残したのです(注1)。
つまり、「自分はやる」と言い聞かせるより、「自分はやるだろうか?」と自問するほうが、行動意欲は高まったということ。これは、疑問形によって「自分で考え、自分で決める」という感覚が生み出されるからです。
このメカニズムは他者への声かけにも応用できます。
「こうすればいい」「こうしなさい」と最初から押し付けるのではなく「どうすればいいと思う?」と相手に問いかけることで、相手は自ら思考して内発的動機が高まるため、自分ごととして実行に移しやすくなります。
注1:Senay, I., Albarracín, D., & Noguchi, K.(2010)“Motivating goal-directed behavior through introspective self-talk: The role of the interrogative form of simple future tense. Psychological Science, 21(4), 499–504.
「自分で選んだ」感覚を与える方法
心理的リアクタンスを踏まえると、指導の効果を高めるうえで最も重要なのは「押しつけない設計」です。リーダーが正しいことを言っていても、伝え方が一方的であれば、メンバーは内容以前に「決められた」という感覚に過敏に反応してしまいます。
大切なのは、メンバーが「自分で選んだ」「自分で考えた」と感じられるプロセスを意図的に作ることです。
そのために有効なのが、選択肢を示して選んでもらうアプローチです。
「AとBとC、どれが自分に合いそう?」と3つ程度の選択肢を提示すると、相手は選ぶ主体になれます。
また、「あなたはどうすればよいと思う?」という問いかけは、答えを押しつけずに相手の思考を引き出す効果があります。普段から反発が大きいメンバーほど、まず現状を肯定したうえで問いを投げることが、信頼関係を崩さない指導の起点になります。

