リーダーはリターン側、マネジャーはリスク側

これがリーダーとマネジャーの役割とも重なります。

リーダーは理想(リターン)を創る人。「こうなったら素晴らしい」という未来を描き、共感を生む。マネジャーはリソースを管理してリスクをコントロールする人。「これをやると何が起きるか」を見極め、意思決定する。

だから、同じ「任せる」という判断を「リスクとリターンで考えよう」と言っても、リスク側で考えるマネジャーと、リターン側で考えるリーダーでは、議論が噛み合わないことがあります。「失敗したらどうする」と言う人と「うまくいったらこうなる」と言う人が、同じテーブルで話しているような状態です。

この構造を理解した上で、(本書の)「〈一体感〉と〈連帯感〉のレンズ」で触れた、「チームワーク創造メソッド」を使います。

リスクを精密に見る人と、リターンを大きく描く人が補完し合えば、チームとしての判断の質が上がります。「リスクを見る目」と「リターンを描く力」はどちらも必要であり、どちらかが欠けると意思決定は偏ります。

丸投げの判断においても同じです。「失敗したらどうなるか(リスク)」だけを考えると踏み出せない。「任せることで何が生まれるか(リターン)」だけを考えると無謀になる。これらを区別して定義することが、丸投げの土台となります。

打ち合わせをするビジネスパーソン
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「自立」と「自律」の違い

よく似た言葉である「自立」と「自律」――この2つの違いを意識することで、丸投げの目的がより明確になります。

〈自立〉とは、他者に依存せず、自分の力で立つことです。「できる」という能力の問題。「一人でやれる」「指示がなくても動ける」という状態が自立です。

〈自律〉とは、自分で判断基準を持ち、それに従って行動することです。「どう動くか」という意思・価値観の問題。チームの理想を理解した上で、「これはチームのためになるか」を自分で問いながら動ける状態が自律です。

バツ投げは「自立」を求めてしまいがちです。「後はよろしく」「自分でやれ」――できるかどうかだけを問う。でも、方向が間違っていても一人で突き進んでしまう可能性があります。