多くのマネジャーが偏っている

ここでは、丸投げを機能させるためのレンズとして、この2つを改めて整理していきます。

リーダーシップだけでは、組織は回りません。「理想は素晴らしいんだけど、誰が何をやるのか全然決まっていない」という状態。マネジメントだけでは、組織は動きません。「誰が何をやるかは決まっているけど、なぜやるのかわからない」という状態。

両方が揃ったとき、組織は最も強くなります。

あなたは、リーダーでもあり、マネジャーでもあります。理想を示し、共感を得る(リーダーシップ)。その上で、誰に何を任せるかを決め、権限と責任を明確にする(マネジメント)。

この両方の役割を意識して果たすことが、丸投げの土台になります。

ここで一つ、質問です。

あなたは今、リーダーとして振る舞えていますか?
それとも、マネジャーとして振る舞えていますか?

多くのマネジャーが、どちらか一方に偏っています。

リーダーとして優れているけれど、マネジメントは苦手、というタイプ。理想を語るのは得意だけど、誰が何をやるかを決めるのが苦手。「ビジョンはあるのに、実行が伴わない」という状態。

逆に、マネジャーとして優れているけれど、リーダーとして弱い、というタイプ。仕事を振り分けるのは得意だけど、なぜやるのかを語るのが苦手。「誰が何をやるかは明確なのに、メンバーのモチベーションが上がらない」という状態。

どちらが良い・悪いではありません。大切なのは、自分がどちらに偏っているかを自覚して、意識的に両方を使い分けることです。

仕事を振る(マネジメント)前に、なぜこの仕事をやるのかを伝える(リーダーシップ)。この順番を意識するだけで、丸投げの質が変わります。

会議を開くビジネス・ピープル
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リスクとリターンで捉える

リーダーとマネジャーの違いを、もう一つのレンズで見てみましょう。それが「リスクとリターン」です。

職場で「リスクがある」「リスクがない」「リターンが大きい」という言葉はよく使われます。しかし、実はすれ違いが起きやすい言葉です。このすれ違いを解消するために、定義を整理しておきます。

リスク=将来発生し得るコスト

さらに分解すると、リスク=発生確率×発生時のコストです。

「リスクがある」と言うとき、発生確率に焦点を当てているのか、発生時のコストに焦点を当てているのかで、まったく違う話をしていることがあります。発生確率が0.1%でも起きると会社の存続に影響を及ぼすものと、発生頻度は割とあるけれど影響が軽微なもの――どちらに重点を置いているのかを明確にすることが、議論の解像度を上げます。

リターン=想像力×創造力

リスクは過去の実績をもとに「想像力」で計算します。発生確率や発生時のコストを見積もるには、過去の失敗事例や類似ケースを想像する力が必要です。一方、リターン(将来得られる理想の価値)はまだ存在しないものを生み出す話なので、「創造力」が必要です。

ここに、保守的な性格の人と楽観的な性格の人の違いが生まれます。リスクの想像が得意な人は「起こり得る最悪を考える」。リターンの創造が得意な人は「実現したときの価値を考える」。「リスクとリターンで判断しよう」と言っても、見ている場所がまったく違うのです。