一流人材が集まるコンサル業界に異変

経済学者のケインズは「技術の進歩によって自動化が進めば、労働者は自由な時間を持てるようになる」と予言しました。一方マルクスは「額に汗して働く者こそが最も尊い」という趣旨のことを言っていました。かつては相反する思想に見えていたこの二つの言葉が、AI時代においては奇妙に重なり合っているのです。

ホワイトカラーの仕事の中で、特に変化が激しいのがコンサルタント業界です。

2人のビジネスマンが集まり、デジタルタブレットとラップトップコンピューターで財務データ、チャート、グラフを見ています
写真=iStock.com/courtneyk
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コンサルタントというのは、企業の経営課題に対してアドバイスを提供し、高額の報酬を得る仕事です。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、デロイト トーマツ グループといった大手コンサルティング会社には、海外の一流大学を出た優秀な人材が集まり、日本でも近年は東大生の人気就職先の上位に入るほどです。

しかしアメリカではいま、企業がコンサルタント会社に対して「AIが出せないようなアドバイスをしてくれ。そうでなければ発注しない」と言い始めているといいます。

24時間働けるAIに人間は勝てるのか

これは当然の流れです。コンサルタントがやってきた仕事の核心部分、つまり「過去の事例を集めて分析し、ベストプラクティス(ベストな実践手法)を提案する」という作業は、実はAIが非常に得意とするところです。膨大なビジネスデータを瞬時に参照し、類似ケースを引き出し、論理的な提案を文章でまとめる。こうした仕事は生成AIの独壇場と言えます。

しかもAIは、疲れることもなく、膨大な資料を短時間で読み込み、24時間休まず分析を続けることができます。これまで若手コンサルタントが、睡眠時間を削って何日もかけて作っていた市場分析資料やプレゼンテーションの叩き台を、AIは数分で作成してしまう。企業側からすれば、「高額なコンサルティング料を払わなくても、かなりの部分はAIで代用できるのではないか」と考え始めるのも無理はありません。