クレームがほとんどなくなった
2026年3月、JALからのラブコールに応える形で、ベジタリアン機内食への挑戦が始まった。
調理は社食と同様、結婚式場の厨房を活用し、安全の基準をクリアするため、金属探知機を導入した。また、菌の繁殖を防ぐための急速冷却器や、大量に米を炊ける炊飯器、保管できる大容量の冷凍庫などをそろえた。機内食を開発するための投資は、約2000万円に及んだ。
そして、2026年6月から、成田発のデリーとバンガロール行きの便で提供が開始された。3月に決定してから、わずか3カ月後のことだ。現在は1日60食ほどだが、9月からはインド行きだけではなく、世界各地へのフライトの特別食に採用されることも決まっている。数は、1日約300食ほどに増える予定だ。
JALインド支店長の竹井さんは「これまであったインド人旅客のクレームの声はほとんどなくなりました」と話す。乗客だけではなく、それまで大変な思いで対応していた客室乗務員も喜んでいるという。
大手自動車メーカーのスズキでの社食提供、レトルトカレー製造、JALの機内食と数々の成果を上げてきた伊達さん。レストランとウェディングを行ってきた150年以上の歴史を持つ老舗企業が、「第二創業と言ってもいいかもしれません」と思えるほどの変化だった。
しかし、従業員数約60人の小さな会社である鳥善が、世界有数の自動車メーカーとコラボできたのは、単なる“運”だけではない。そこには、伊達さんの「地元浜松」への思いがあった。


