復活の狼煙は箱根から上がった

翌日の1月2日、箱根駅伝のスタート地点である大手町の読売新聞本社前に居並ぶ21人のランナーたちの足元はもはや、ナイキ一色ではなかった。その一割ほどがアシックスの「メタスピード」を履いていたのである。

2022年1月2日、平塚中継所で駒大4区の花尾恭輔(右)にたすきをつなぐ3区の安原太陽(代表撮影)
写真提供=共同通信社
2022年1月2日、平塚中継所で駒大4区の花尾恭輔(右)にたすきをつなぐ3区の安原太陽(代表撮影)

本書『敗れてもまた走れ アシックス創業者 鬼塚喜八郎の情熱』で先述したように、契約に縛られるプロ選手がシューズブランドを変更することは、簡単ではない。しかし、学生ランナーは「速く走れる」とわかれば、積極的な変更もいとわない。現場と向き合い、選手たちに真剣に相対した結果、この箱根駅伝で、アシックスは復活の狼煙を上げたのだ。

その後もアシックスは「メタスピード」を改良し続け、学生ランナーのみならず、世界のトップ選手たちの評価も高まっていった。