車の「特定の瞬間の速度」を知るには

何かが線形に変化している場合、私たちの直感が理解を助けてくれるかもしれません。しかし、扱う対象が非線形的に変化している場合には、それを理解することが格段に難しくなります。

非線形的な変化の典型的な例は、自動車の速度の変化に関するものです。移動距離と所要時間をグラフにする(*移動距離を縦軸に、所要時間を横軸にとる)と、移動中のある時点での速度はどれくらいになるでしょうか。

移動距離が時間の単純な倍数である場合、つまり線形関数を示す場合にはグラフは直線になり、速度は単にグラフの傾きと一致します。しかし、道を走る車が加速していく様子を想像するとどうでしょうか。時間ごとに走行する距離が長くなるため、距離と時間を示すグラフはもはや直線ではなく、上向きのカーブを描きます。

でも、運転中のある時点での速度をどうやって確認すればいいのでしょうか。速度は距離を時間で割ったものなので、3秒目から4秒目までの距離を測って、どれくらい進んだかを確認することができます。しかし、これは実際には平均速度に過ぎません。その1秒間に進んだ距離だけを見ても、それはその1秒間の平均速度に過ぎず、特定の瞬間の速度を示しているとは言えません。そこで、改めて0.1秒間の平均速度を計算してみますが、それでも平均速度であることには変わりありません。

自動車
写真=iStock.com/igoriss
※写真はイメージです

微積分が役立つ場面

したがって、常に変化する速度を正確に得るためには、最終的にはゼロの時間を取り、その時点での移動距離もゼロにする必要があります。一見するとばかげているようではありますが、微積分が役立つ瞬間でもあります。微積分(*ここでは微分)は、特定の時点での速度を計算する方法を私たちに教えてくれるのです。すなわち、グラフ上の任意の点における曲線の勾配、傾きが理解できるようになるのです。

かの有名なニュートンとライプニッツは、時間の幅をどんどん狭めていくと、速度は徐々に特定の値に収束していくことを理解していました。そこで、彼らは、手間のかかる計算の代わりに、特定の時間における速度を算出できるツール(*として微分)を考案しました。このように、本質的には、微積分を理解することで非線形に変化するものを自由自在に扱えるようになります。