仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは岡嶋裕史『子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由』(光文社新書)――。
スマートフォンを使うビジネスマンの手
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イントロダクション

「SNSによる炎上」が社会問題として取り沙汰されることが増えた。中には人命に関わるような深刻な炎上事例もあり、早急な対応が求められている。そうした中、子どものSNS利用を禁止・規制すべきという議論が世界各国で持ち上がっている。

子どものSNS禁止は本当に有効なのか。そして炎上の本質はどこにあるのか。

本書では、破壊的な炎上を食い止めるには、子どものSNSを禁止するのではなく、大人のX利用を規制すべきだという主張を展開。SNSで形成された閉じたコミュニティを、見境なく接続するXの機能に着目し、その拡散力を削ぐ方向の対処法を提案している。

また、多様性が謳われる現代に、インターネット上で意見の「激突」が起こる構造についても掘り下げている。

著者は中央大学国際情報学部教授。富士総合研究所勤務、関東学院大学経済学部准教授・情報科学センター所長を経て、2019年から現職。中央大学政策文化総合研究所所長、学校法人神戸学園顧問も務める。

第1章 世界のSNS規制状況
第2章 拡散系サービスの歴史
第3章 X上での政治的対立はなぜ起こる?
第4章 正義棒は魔法の棒
第5章 子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由
第6章 どうすれば誹謗中傷合戦を解決できるか?

SNSの本質は「閉鎖空間」

そもそもSNSとは何か? 一言で言い切ってしまうならば、フィルターバブルを作るサービスがSNSです。本書はSNSをこう定義します。SNSの本質は閉鎖空間で、そのサービスの核心とは、仲良ししかいない閉じたコミュニティを作って利用者を閉じ込めることです。

利用者はタイムラインというフィルターバブルの中で、自分の触れたい情報にだけ触れて時間を過ごします。それが許されていた時期の子ども部屋のような、幸せな体験がSNSの商品価値です。

SNSの機能はむしろ喧嘩を回避する方向へ働きます。怒られそうなことをやっても親や先生や対立集団が発見しにくくなります。でも、事実としてSNSに由来した炎上は頻発しています。なぜ、このような矛盾が生じるのでしょうか? それは「SNSでないサービスをSNSと呼んでいるから」だと私は考えています。