拡散系サービス規制か、コクーンの未来か

個人的には、もっと効果のありそうな解決策も持っています。個人が完全にパーソナライズされた快適な現実に引きこもるコクーン(繭)の未来です。SNSのフィルタリングをさらに推進して、同一属性の人の囲い込みを深化させるのです。電子的な隔離と言ってもいいかもしれません。

岡嶋裕史『子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由』(光文社新書)
岡嶋裕史『子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由』(光文社新書)

話し合っても喧嘩にならない、共感できる人しか、同じ生活範囲内に見えない(存在しない)ようにします。たとえばヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかぶって出社・登校し、本当に意見の合う、気に入った人や物、音、匂いしか、自分のフィルターバブルの中には入ってこられないようにします。

AOS規制は、公共圏を再び居住可能、議論可能なものにするために手を入れる試みです。コクーンの解決策は、完全にコントロールされた私的領域を優先し、公共圏そのものを廃絶する試みです。公共の広場を修復するために戦うのか、究極の孤立を形成する私的な繭を作っていくのか、私たちは近い将来、これを選ぶことになるかもしれません。

※「*」がついた注および補足はダイジェスト作成者によるもの

コメントby SERENDIP

著者のコクーン案は極端(著者自身、一つの思考実験と述べている)だが、ネット上のサービスを「仲間と閉じるサービス」と「世界へ拡散するサービス」と区別する視点は示唆に富む。異なるルール、世界観、志向性を持つサービスが何の準備もなく混じってしまい、無法地帯となっているのがSNSの現状なのだろう。利用者は「閉鎖系」「拡散系」の区別を意識するだけでも、XやSNSへの向き合い方が変わるように思われる。炎上やそれを生み出す感情がプラットフォームの技術によって触発されるならば、そうした「道具」の技術的構造を理解することは、一つの抑止になるのではないか。

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