Xが「グループ同士の橋」になる

SNSではないのに、SNSと呼ばれているサービスの典型例はXです。Xは(*SNS的機能も持つが)フィルターバブルが作る殻を突き崩す機能が傑出しているので、偏った考えが生まれたときにそれを殻の中に閉じ込めることができません。

まさにX自身がツイッター時代に自称していたように、彼らの力の源泉は「世界をあまねく接続する能力」です。彼らのビジネスの中核は「拡散」にあります。SNSで「内輪の話」としてやりとりしていた内容は、そのSNSに参加している利用者がXにポストすることで、グループをまたいで、その内容を嫌がるグループのもとにまで容易に届きます。

SNSの特定の友だちグループの中では常識として通用していた考えは、グループの外にいる人にとっては嘘であり、不快であり、不正義にもなり得ます。こうした話題はたちまち炎上します。SNSがその機能で分割していたグループ同士がXという橋で結ばれ、考えの合わない人同士の相互接触が幾重にも重ねられ、炎上の確率は跳ね上がります。

規制すべきは「拡散系サービス」

Xに限らず伝播させることを主眼に設計されているサービス(YouTubeやTikTok、インスタグラム等)は、まさに世界を分け隔てなく結びます。こうした拡散系サービス(Amplification-Oriented Services:AOSとしておきます)の存在価値はその利用者数と拡散性、アテンション獲得能力です。そして、そのアテンションを得るよく知られた、極めて効率的なやり方は人の怒りです。

人のコミュニケーションネットワークの概念
写真=iStock.com/metamorworks
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彼らが表立って認めることはありませんが、アテンションを獲得するために怒りを利用するテクニックは年々進歩・拡大しています。こうした状況がある中で、炎上とその二次被害を押さえ込もうとするならば、まず規制すべきはSNSではなく拡散系サービスだと考えられます。その利用、拡散デザイン、運用に制限をかけることは、現実的な解決策となるでしょう。

また、炎上の主戦場としてのXを観察したとき、もとから児童・生徒の年代の利用者比率が高いサービスではありませんでした。つまり、SNSの利用規制は、その対象をSNSではなく、Xなどの拡散系サービスに置き換えるなら消極的賛成です。ただし主たる対象を子どもに絞る必要はなく、むしろ大人を保護しなければなりません。