他社は「クルマをスマホに」、トヨタは「事故ゼロに」
今年のタテシナ会議の後、記者会見したのはトヨタの社長、近健太だった。近社長は就任会見の時からSDVについて触れている。
そして、トヨタのSDVとは次のようなことだ。トヨタの目的は「悲しい交通事故をゼロにすること」であり、SDVそれ自体は「クルマを“買った時のまま”ではなく、機能を継続的にアップデートしたり追加したりすることで、スマホに好きなアプリを入れるみたいに、一人ひとりの好みに合わせた進化が可能」になることだ(トヨタイムズから)
SDVについては他の自動車会社の場合は車内エンタテイメントの充実、ドライバーのコミュニケーション体験の深化といった方向だ。つまり、クルマをスマホにしてしまおうといった姿勢である。
だが、トヨタは社長の近健太が明言したように「交通事故ゼロ」のためにソフトウェアの可能性を追求する。ここに持てる力を結集している。トヨタのSDV、自動運転技術とはあくまでも交通安全のためのそれだ。
「EVに遅れている」と叩かれても
かつて、EUを始め世界の自動車会社は「これからはEVだ」とバッテリーEVの増産に走った。エンジンをやめてすべての車両をEVにすると発表したメーカーもあった。
一方、トヨタの会長、豊田章男は「お客さまの欲しい車を造る」とだけ言った。そうして「トヨタはEV化に遅れている」と叩かれた。
世界の自動車会社、特にEV専業の会社は今もなおEV量産、バッテリー性能向上こそが未来への道だと考えている。だが、トヨタは「お客さま本位」が未来を決めると信じた。EVに背を向けたのではなく、交通事故ゼロという一点を見据えていた。交通事故ゼロはお客さまのためであり、ひるがえって自動運転に通じるからだ。他社が設定した「土俵」には上らず、自分が信じる土俵で戦う。それはトヨタのやり方であり、トヨタらしさなのだろう。
現在も世界の自動車会社はEV化を進めている。バッテリー性能の向上に持てる力を注いでいる。トヨタだってハイブリッドを含めたEV化を進めている。燃料電池車を出し、水素エンジンも開発している。しかし、トヨタは交通安全基盤の開発と整備を優先して進めている。
