世界的に見て日本の交通事故死は少ない
現在、世界中の自動車会社が自動運転に取り組んでいる。自動運転技術を開発する際、忘れてはならないのが、その国の交通インフラであり、かつ、交通安全事情だ。そこで、世界の国の交通事故死者数を見てみる。
世界的に見ると、日本の交通事故死は少ない。そして、交通事故を毎年、減らしているとわかる。
国際道路交通事故データベース(IRTAD International Road Traffic and Accident Database)がデータを有する35カ国について、人口10万人当たりの交通事故死者数を比較した表がある。(※令和7年交通安全白書より「海外の交通事故発生状況(2023年)」内閣府)
日本は10万人当たりの交通事故死者数が2.6人であり、少ないほうから5番目だ。いちばん少ない国はノルウェー(2.0人)、もっとも多いのがコスタリカ(17.0人)で、アメリカ(12.2人)も多い。解説文には「長期的な推移に着目すると、2014年から2023年にかけて、アメリカは増加傾向にあるが、他国は減少傾向にある」(同白書)。日本はこれまで毎年、交通事故死者数を減らしている。
中国はIRTADに参加していない。10万人当たりの年間死者数は中国の公安部(MPS Ministry of Public Security)が発表した数字が約4.3人(全体6万2218人 2021年)。そして、より正確とされるWHO(Global status report on road safety 2023)が推計した数字では17.4人(全体24万8099人)で、コスタリカよりも多い。公安部とWHOの数字が異なっているのは死亡定義などが違うからだ。公式発表の定義は事故後7日以内、WHOは事故後30日以内としている。
EV論争で誰も語らない“日本の強み”
繰り返しになるが、日本は人口規模の割に交通事故死者数が少ない国であり、かつ、交通事故死者数を減らしてきた。これまでに蓄積されたデータは自動運転技術の開発に役に立つ。交通事故死者数が少ないこと、事故を減らしてきた人の意識と交通インフラの進化、そこから生まれた数々のデータは日本の自動車産業にとっては大きな価値を持っている。日本が今後も交通事故を減らしていったとする。その方法、そのデータは安全運転支援と自動運転の技術に活用できる。世界のどの国よりも実績を挙げたデータを持っているのだから。
車両技術と通信技術の他に、日本は人の交通安全意識と進んだ交通インフラ、コネクティッド・カーのデータがある。自動運転技術の開発では日本はまったく負けていない。それどころか優位な立場にいる。
マスメディア、自動車関係者はEV化とバッテリー性能、そして、車両と通信の自動運転技術については語るけれど、日本人の交通安全意識と交通インフラについては、ほぼ触れたことはない。だが、後者ふたつは自動運転社会に欠くことのできない要素だ。

