宝くじが当たる確率は極めて低いのに、なぜ人は「もしかしたら」と期待してしまうのか。「損失回避」の心理を、行動経済学の核心理論から解き明かす。
「高いからこそ買いたい」不合理な心理を読み解く
自分のお金の使い方について、常に合理的な選択をできていると思いますか? つい衝動買いをしたり、予定になかった外食やギャンブルをしてしまったりすることはないでしょうか。
伝統的な経済学では、「人はいかなる場合も合理的に振る舞う」という仮説のもと、理論を展開していました。しかし、人間は時と場合によって非合理な行動を取ることがあります。そこで伝統的な経済学の考え方に、心理学的なアプローチを加えたのが「行動経済学」です。中でも「プロスペクト理論」は、行動経済学の核となる理論の一つ。この概念を理解しておくと、日常のショッピングからビジネスシーンでの交渉に至るまで、様々な場面における「利得」や「損失」について、人はどのように「喜び」と「痛み」を感じるのか、客観的かつ冷静に捉えられるようになるでしょう。
伝統的経済学のわかりやすい例として、「右肩下がりの需要曲線」があります。これは、「価格が上がるにつれ、消費者の購買意欲(需要)は減少する」という考え方です。非常にもっともらしく聞こえますが、実際の市場においては、この仮説通りにいかない事象が見受けられていました。
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(構成=中村真紀)


