「世界一地球環境を破壊した男」

一方、ミジリーはエチルで成功を収めた後、実はもう1つ画期的な発明をしています。

九和律(9割が知らない雑学)著、齋藤勝裕監修『生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語 科学の教養大全』(Gakken)
九和律(9割が知らない雑学)著、齋藤勝裕監修『生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語 科学の教養大全』(Gakken)

ゼネラルモーターズは車以外にも家電を製造しており、冷蔵庫やエアコンを製造していました。当時、冷蔵庫やエアコンで内部のものを冷却するために使われていた化学物質は可燃性であり、安全性に問題がありました。ここでもミジリーは完璧な解決策を見つけ、フロンという物質を発見し、冷蔵庫などに使用することを提案。見事採用され、フロン冷媒の家電が世界中で売れていきました。

しかし、残念ながらフロンはオゾン層を破壊する環境破壊物質でした。当時、世界中の家電に搭載されたフロンはオゾン層を破壊し、数年経ったのちに、モントリオール議定書にてフロンの規制が始まりました。

やることなすことすべてが裏目に出てしまった、「ちょい足し」の天才ミジリー。

当初、ミジリーは世界中の人を便利にしようとがんばっただけでした。その結果、彼は世界一地球環境を破壊しました。アメリカでミジリーは「すごいほど残念な才能を持つ男」「有史以来、地球の大気に最も大きな影響をもたらした生命体」と評されています。

危険性を知りながら、偽って広めた罪

詩人ハインリヒ・ハイネは言いました。

「本を焼く者は、やがて人間も焼くようになる」と。

ミジリーが有鉛ガソリンを発見した際、実はその100年以上前から、鉛の人体への危険性は知られていました。だから広告上では、ガソリンに鉛を添加していることは伏せられていました。名前も有鉛ガソリンではなく「エチルガソリン」と名を改めて売り出しました。当時のアメリカで、車のエンジンの中で焼いていたものは、鉛ではなく過去の知識だったのかもしれません。

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