経営者が外国人雇用に傾くカラクリ

外国人労働者の人件費は、「賃金は日本人と同等以上」が法的原則だが、実際の大きな人件費差の要因は「雇用期間の差」にある。

外国人は原則、ビザの都合で「最大5年で定期昇給がリセットされる労働者」として計算される。一方、雇用の継続が前提となる日本人は、定昇とそれに連動するベア、賞与、退職金、社会保険料の会社負担分など「複利で人件費が膨らむ労働者」であり、絶対的な人件費コストの差が出る。日本人であれば月額20万円の賃金スタートでも、年2%の定昇の継続で15年後には27万円になるが、5年間で平均22万円の特定技能とは、月額賃金だけで年60万円の差となる。

前提となる労働期間に大きな差がある以上、決して「同等」にはならず、現実には外国人労働者を雇うほうが日本人労働者より格段に安くつく。これが、経営者が外国人雇用に傾くカラクリだ。かといって更新回数に制限がなく長期滞在が前提となる「特定技能2号」を増やせば、政府が否定する移民政策と同義になってしまうし、経営者が5年限定の外国人労働者を新規採用できる環境さえあれば、状況は変わらないだろう。

工場で機械を整備する労働者
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ステルス「所得移転」の恐ろしさ

かわいそうなのは、ケース②に該当する外国人導入に舵を切った職場で働き続ける日本人従業員だ。低賃金を厭わない外国人労働者を受け入れる職場では、経営者にとっては昇給抑制が経営上、合理的となる。結果、日本人従業員の昇給は遅れ、待遇が悪化し離職が進む。受け入れ政策とは、日本人労働者から経営者へのステルス的な「所得移転政策」の一面もある。

そして離職者が増えると、今度は発信力が強い企業側は、被害者のように「日本人は辛い職場で働きたがらず、人手不足だ」と主張する。すると政治が動き、世論も理解を示し、外国人受け入れがさらに進み、「我々の業界も」と受け入れ業種が拡大していく。労働力確保の手段が、「賃上げ」ではなく、「人手不足の主張による“外部不経済政策”」となっているのだ。