企業が訴える「人手不足」は本当なのか
その一方で、賃金が振るわない外食産業や製造業、建設業の上流にある上場企業の業績は絶好調だ。直近決算では、大手コンビニ2社は過去最高益、実質賃金ベースでマイナス2%だった建設業も、大手、準大手ゼネコンでは、約半数が最高益を更新と報じられている。国内売り上げがほとんどの代表的な外食チェーンの上場親会社5社も、すべて過去最高益を更新していた。
中でも営業利益率が10%(同業平均5~6%)を超えるチェーンほど外国人比率が高く、3割を超える大手外食チェーンは、特定技能「外食」が受け入れ上限に達した際、社長が「これからは日本人を雇いたい」と発言して炎上した。つまり外国人雇用は「社会インフラを支える人手不足対策」というより、少なくとも数字上は、企業利益の拡大を支える手段になっているのが実態だ。
なぜ外国人参入が進むと賃金が上がりにくくなるのか――。これは経営者視点で日本人と外国人の人件費を比較すれば明快だ。成果物に外国人との差が出にくい定型業務であれば、職場の従業員を日本人から安価な外国人に切り替えるほど、その差額がそのまま会社側の利益として積み上がる構図がある。そこで一般的な部品会社の現場従業員をモデルケースに、損益をシミュレーションした。その結果が図表2だ。
日本人より「1人あたり160万円も安い」
賃金構造基本統計調査をベースに、同等の経営内容の部品会社2社で、現場従業員(「金属工作機械作業従事者」事業規模10~99人)20人が日本人のみのA社と、20人のうち7人を在留資格「特定技能」の外国人労働者に切り替えたB社の年間人件費を試算した。諸費用も按分した年換算分を算入している。
すると、ケース①のA社の日本人従業員の年間人件費は1人あたり547万円、ケース③のB社の外国人従業員が385万円であり、会社側が支払う人件費にはなんと162万円/1人もの差がついた。
③の内訳は、「特定技能」の月額賃金がおよそ22万円(賃金構造基本統計調査)、これに寸志を加算し、月々3万円程度とされる「登録支援機関」へのサポート委託費(監理料)や受け入れ時の諸経費を算入しても、会社側が支払う総人件費は年間で400万円弱に収まる。これが月額賃金19万円の技能実習になれば、さらに安くなる。一方、日本人の場合、年収は430万円程度だが、諸費用を含めた会社側が支払う総人件費は年550万円近くになる。

