減速した中国市場でも売れ続ける理由
逆風においても売れる取り組みの事例として、今の日産自動車にとっては役立つ情報のはずだ。
ただし、製品企画というよりも販売面における取り組みとなっている。トヨタ車が世界中で売れている理由に対するルロワ氏の見解を端的に表現すると、「顧客にトヨタ車の魅力を伝える当たり前の活動を、愚直に進めてきたから」ということになる。
その上で、ルロワ氏は世界の4大市場、すなわち(1)中国市場、(2)米国市場、(3)欧州市場、(4)日本市場――のそれぞれでトヨタ自動車が進めてきた具体的な活動を紹介した。
まず、(1)の中国市場は2017年から減速しており、これが世界の自動車市場にブレーキをかける主因となった。そして、2019年に中国市場は前年比で8%減少したのだが、トヨタ自動車は販売台数を9%増加させることに成功した。
その一因は、新型カローラと「レビン」の好調な販売にある。これらの車種にはTNGAを採用して走行性能を高めたのは先述の通りだ。重要なのは、このTNGAの導入によって実現したこの特徴を、販売員の1人ひとりが顧客に丁寧に説明し、体感してもらえるように力を入れたことである。
加えて、安易な値下げを回避し、中古車価格が下がらないように努めたという。こうした活動により、中国市場の顧客に「クルマの品質の高さや燃費効率、性能に加えて、リセールバリュー(再販価値)も(トヨタ車の)魅力だと感じてもらえるようになった」とルロワ氏は語った。
弱点を徹底的に克服するトヨタ
続いて、(2)の米国市場では、ハイブリッド車に関して世間に広まった「非力」、すなわちパワー(出力)不足というイメージを拭い去ることに力を入れた。ルロワ氏が例に挙げたのは5代目RAV4だ。
米国市場において、前モデル(4代目RAV4)におけるハイブリッド車の比率は13%程度にとどまっていた。そこで、トヨタ自動車は、顧客や販売店の意見を詳細に調査し、「ハイブリッド車はパワーが劣る」という負のイメージを多くの顧客が持っていることを突き止めた。
これを踏まえ、5代目RAV4の販売では、燃費と走行性能の良さを強く打ち出す戦略に出た。この方法が奏功し、RAV4のハイブリッド車に「パワフル」な印象を持つ顧客の比率を従来の27%から38%まで伸ばすことができた。
そして、このイメージの刷新によって5代目RAV4のハイブリッド車の販売台数も増やし、ハイブリッド車の比率を25%と、前モデルのそれから12ポイントも引き上げることに成功している。

