粘り強い活動がハイブリッド車の普及拡大へ

次に(3)の欧州市場では、ディーゼルエンジン車の突然の失速という追い風が吹いた。

独フォルクスワーゲンが起こし、2015年9月に米環境保護局(EPA)が不正の事実を発表したことで発覚した排出ガス不正問題、いわゆる「ディーゼルゲート」の影響である。

この事件をきっかけに、それまでフォルクスワーゲンをはじめ欧州の自動車メーカーが演出してきた「ディーゼル車は環境に優しい」という好印象が崩壊し、欧州の顧客の目が「真の環境車」に向かった。

欧州市場のこの転換点において、トヨタ自動車が長年にわたって粘り強く展開してきたハイブリッド車の普及活動が実を結んだ。欧州市場で真の環境車としてハイブリッド車を選択肢に入れる顧客が増えてきたからだ。

ハイブリッド車
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「欧州市場では当初、ハイブリッド車は未知の技術だった」(ルロワ氏)。そこで、トヨタ自動車は販売店にハイブリッド車の技術の優位性、具体的には燃費や静粛性、耐久性、ランニングコストなどの利点を伝え続けた。併せて、顧客にうまくセールスできるように、販売員にハイブリッド車の技術をゼロから学ばせた。

その結果、ハイブリッド車の優位性を認める顧客が少しずつ増えていった。こうしてトヨタ自動車が魅力を伝える取り組みに努め、実際に乗ってもらったところ、クルマの良さが想像以上に伝わった。

欧州市場の7割はハイブリッド車に

幸運だったのは、購入した顧客がハイブリッド車の優位性を口コミで広める役割を果たしたことだ。注いだ努力が何倍もの利益になって返ってきたというわけである。かつて、欧州市場ではハイブリッド車の技術について誤解している人が多かった。

「壊れたら修理しにくい」「ハイブリッド車は充電が必要だ」といった誤解だ。こうした誤解は、魅力を伝える取り組みで徐々に払拭されていったという。

結果、欧州市場で売れているトヨタ車(レクサス車を含む)の5割以上がハイブリッド車となった(2025年には7割近くに達している)。このハイブリッド車人気が欧州の販売全体を押し上げている。

そして、(4)の日本市場では、販売店ネットワークの改革に着手した。

狙いは、日本の全ての販売店でトヨタ自動車の全ての車種を提供できるようにすることだ。当初は2025年に導入する計画を2~5年前倒しし、2020年5月からスタートさせた。ルロワ氏は直接販売店の代表者に会い、取り組みに対する本音や懸念を聞いたという。

その結果、多くの販売店が「人気車種の供給が追いつかなくなるかもしれない」と不安を覚えていたことが分かった。この不安を解消すべく、トヨタ自動車は生産体制の調整を行い、準備を着々と進めているという。